離婚・婚姻の専門解説協議上の離婚
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2020年6月5日
協議上の離婚
詐欺・強迫による離婚の取消し
民法第764条第738条(成年後見人の婚姻)、第739条(婚姻の方式)及び第747条(詐欺・強迫による婚姻の取消し)の規定は、協議上の離婚について準用する。 成年被後見人が、協議離婚をするには、その成年後見人の同意を要しません。成年…
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2020年6月3日
協議上の離婚
事実上の離婚
事実上の離婚は、それのみで問題となることは、ほとんどありません。通常は、当事者の一方に生じた内縁配偶者との関係で、法律婚配偶者と重婚的内縁配偶者とのどちらに婚姻の効果を認め、保護すべきかという文脈で問題となります。 重婚的内縁は、法…
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2020年5月28日
協議上の離婚
離婚の予約
離婚の予約とは、将来協議離婚をしようと約すること、をいいます。 婚姻前に離婚の予約がされる場合には、条件付きまたは期限付きの婚姻の合意として、婚姻の意思の問題になります。婚姻の意思に、条件や期限を付けることは許されないので、婚姻意思…
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2020年5月23日
協議上の離婚
協議離婚の無効と取消し
当事者の一方に届出意思を欠く場合は、協議離婚は無効となりますが、この場合に、その協議離婚の無効を追認することは、認められるでしょうか。すなわち、有効な協議離婚とすることが認められるのでしょうか。 夫が、無断で協議離婚の届出をしたのを…
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2020年5月13日
協議上の離婚
離婚意思の存在時期
有効な届書を作成後、受理までの間に、当事者の一方が離婚の意思を失った場合、離婚届の効力はどうなるのでしょうか。 離婚の届書を作成後、受理までの間に、当事者が死亡した場合、身分行為は当事者の生存を前提とするので、離婚は当然に無効となり…
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2020年5月7日
協議上の離婚
離婚意思
協議離婚が成立するには、当事者間に協議、すなわち離婚についての意思の合致のあることが、協議離婚の実質的要件です。離婚意思の合致は、届出という方式によって表示されなければなりません。 婚姻や協議離婚等の形式的身分行為は、本人の自由な意…
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2020年5月2日
協議上の離婚
協議離婚と離婚前置主義
民法第763条夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。 本条は、夫婦が、その協議で離婚することを認めています。これを、協議離婚といいます。協議離婚の要件は、夫婦間の協議すなわち離婚意思の合致(実質的要件)と、戸籍法に定める届…
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2019年5月19日
協議上の離婚
離婚届出不受理申出
創設的届出の届出人が、その意思を欠く届出がされるのを防止するために、戸籍事務管掌者に対し、当該届出に対し不受理処分をするように申し出ることを、不受理申出といいます。 不受理申出は、①一旦届書に署名押印した後に、届出意思をなくした場合…
相手方のパーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは精神疾患のひとつであり、考え方や感情、対人関係といった機能が偏ることで問題が起きます。「性格が悪い」といったものとは異なり、治療が必要な病気です。
男性・女性を問わず、最近、離婚の原因として増えているのがパーソナリティ障害による家庭の不和です。
配偶者がパーソナリティ障害の場合は、相手の言動とそれにより生活にどのような支障が出たのかを具体的なエピソードを挙げて丁寧に主張することが必要です。また、その事実を裏付ける証拠を集めておくことが望ましいといえます。
単なる性格の不一致よりも深刻な生活上の支障をともなうことが多いため、裁判でも比較的離婚が認められやすくなります。
パーソナリティ障害の特徴
- 奇妙で風変わりな特徴を示す場合があります。
・不信感や猜疑心が強い
・会話が風変わりで感情の幅が狭い
・非社交的で他者への関心が乏しい - 感情的で移り気な特徴を示す場合があります。
・感情や対人関係が不安定
・反社会的で衝動的に行動する
・ごうまん、尊大な態度をみせる
・派手な外見や演技的行動で他人の注目を集める
・自己評価に強くこだわる - 不安定で内向的な特徴として次のようなものがあります。
・他者に過度に依存する
・融通性がなくこだわりが強い
・孤独に耐えられない
・不安や緊張が生じやすい
配偶者のパーソナリティ障害で離婚する証拠例
- わめき声や罵声の音声データ
- 度重なる虚言を記した日記
- 自傷行為を行ったときの診断書
自分の浮気での申し出
浮気をしたなど、自分自身に非がありながら(有責配偶者でありながら)離婚を申し出た場合、離婚を認めてもらうためのハードルは高くなります。
有責配偶者が離婚を請求したケースでは、たとえ別居期間が長期間に及んだとしても、原則として離婚は認められません。離婚の原因を作った側が勝手に離婚できるとなるとあまりに身勝手な行為を許すことになるからです。
離婚を成立させるには、自分に非があることを自覚し、離婚成立までの婚姻費用を誠実に支払う、離婚後の養育費を充実させることを約束するなど、誠実に対応します。そうすることで、裁判所も有責者側の立場を考慮し、和解を進めてくれる例もあります。
自分が悪いときは誠実な対応が必要
金銭面での誠実な対応
配偶者に対して、どの程度金銭的な援助があるかが重要です。必要な援助を惜しまず、誠実な対応をしていきます。
具体例としては、次のようなことが考えられます。
- 別居後の婚姻費用を支払う
- 慰謝料を支払うことを約束する
- 財産分与を支払うことを約束する
子どもへの対応
子どもがいる場合は、離婚後の養育費を充実させるなど、経済的・精神的な協力を約束します。子どもへの誠実な対応が第一です。
具体例としては、次のようなことが考えられます。
- 養育費の確実な支払いを約束する
- 面会交流については、相手と子どもの意見を尊重する
配偶者の宗教活動
日本国憲法は、信教の自由を保障しています。配偶者に、自分の信仰している宗教を強制することはできませんし、お互いの信仰する宗教が違うからという理由では離婚できません。
ただし、過度の宗教活動が離婚理由として認められる場合もあるため、その証拠を集めておくことが重要です。
たとえば、平日、休日関係なく、布教活動に明け暮れ、家事や育児を放棄しているときは、日記などに記録しておきます。生活費から家計の負担となるような寄付をしたときは、預金通帳などをコピーしておきます。これらの証拠により、夫婦の協力義務違反や相互扶助に違反した状態であると主張していきます。
宗教が離婚理由になる範囲
離婚が認められる場合としては、次のようなことが考えられます
- 家事、育児を放棄して布教活動を行なっている
- 集団生活をおくっており自宅に帰ってこない
- 仕事をせず、家計にお金を入れない
- 家計を圧迫するくらいの多額の寄付をする
- 子どもを学校へ行かせず、宗教活動に参加させる
- 宗教活動のために多額の借金をしている
- 信仰していない配偶者を精神的に虐待する
離婚が認められない場合としては、次のようなことが考えられます
- 自分の信じる宗教と異なる宗教に入信した
- 家庭内で宗教に関する会話をしようとする
- 毎日行っている祈祷がうるさい
- 自分の友人や知人を入信させようと勧誘する
- 宗教に関する書籍を読ませようとする
- 同じ信仰をもつ信者を自宅に連れてくる
- 子どもを宗教の集まりに連れていく
身体的・精神的暴力
DVとは、配偶者から受ける暴力のことであり、身体的な虐待(殴ったり蹴ったりするなどの暴行)だけでなく、精神的な虐待も含みます。特に精神的な暴力や虐待は、モラルハラスメント(モラハラ)と呼ばれ、離婚の原因となるケースが増えています。
こうした暴力については、調停や裁判に備えて、日頃から具体的な日時や場所、様子などを詳細に記録しておきましょう。日記やメモをつける、録音を残しておくなどの方法があります。
身体的、精神的な暴力は、ケガなどの影響を受けるだけでなく、精神障害の原因ともなります。また、子どもが感情表現や問題解決の手段として暴力を用いるおそれもあります。早めに別居を検討するなど、対処が必要です。
身体的・精神的暴力の例
身体的暴力の例
- 殴る、蹴る
- 刃物などを体に突きつける
- 髪を引っ張ってひきづり回す
- 呼吸が止まりそうなくらい首を絞める
- 腕をねじって痛めつける
- 体を傷つける可能性があるモノで殴る
精神的暴力の例
- 話しかけても無視する
- やることなすことを否定する
- 行動を管理しようとする
- 「誰のおかげで生活できるんだ」などと高圧的に言う
- 家族や友人についてバカにする発言をくり返す
- 「外で働くな」と言い、仕事をやめさせる
身体的・精神的暴力への対処法
- 調停や裁判に備え、医師の診断書や暴力の記録を残しておく
- 警察や女性センターに保護を求める
- 地方裁判所で保護命令を申し立てる
相手親族との不仲
姑が家事や育児に文句をつけるなど、距離が近いとトラブルが起こりがちなようです。このようなときは、まずは夫婦が話し合って問題となる人間関係に距離をおくなどの対処を検討すべきです。
それでも関係が改善しないときは、離婚に向けて家を出て別居するという選択肢もあります。別居にあたっての準備では、相手親族との不仲の証拠などはあらかじめ持ち出しておくようにします。たとえば、嫌がらせの証拠となる写真や暴言を記録した音声などです。
また、離婚を成立させるうえでポイントとなるのが配偶者の態度です。配偶者がトラブルに無関心で、身内の肩を持つばかりで訴えを聞き入れない場合、裁判で離婚が認められる可能性があります。
相手の親族とうまくいかないときの手順
- 配偶者と話し合う
まずは配偶者と話し合い、問題解決の方法を探ります。話し合いの結果、問題が解決することもあります。 - 相手親族と距離をおく
距離をおくことで、これ以上のトラブルが起きるのを回避します。離婚に向けて配偶者と別居することもあります。 - 離婚に向けて証拠を集める
相手親族とのトラブルの証拠を集めておきます。日記やメモ、音声データや動画などが証拠となります。
相手方との一方的な離婚
自分の意思とは無関係に、相手が勝手に離婚届を提出しまうことがあります。離婚の条件がまとまらないうちに、話し合いを打ち切る意味で離婚届を出してしまうケースや浮気をした側が身勝手に離婚を成立させようとするケースが実際に多いようです。
こうした事態に備えて、防止策を講じておくことが大切です。離婚届を提出される前に「離婚届不受理申出書」を提出しておく方法があります。
離婚届が提出され、受理された場合は、家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停を起こします。調停で合意できたら離婚は無効となります。合意できないときには、裁判へと移ります。無効の判決が得られれば離婚は無効となります。
相手の一方的な離婚届の提出への準備と対応
離婚届を提出される前
市区町村役場に「離婚届不受理申出書」を提出し、離婚届の受理を阻止します。
申出先は、本籍地の市区町村役場の戸籍課(本籍地の市区町村役場以外から送付してもらうことも可能)です。申出人は本人です。必要なものは、離婚届不受理申出書、本人確認ができるもの(免許証、パスポートなど)、印鑑です。
離婚届を提出された後
家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停を起こします。
申出先は、相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。申出人は、協議離婚した夫または妻、協議離婚した夫婦の親族などです。必要なものは、協議離婚無効確認の申立書、戸籍謄本(申立人と相手方)、離婚届の記載事項証明書、利害関係人からの申立の場合は利害関係を証明する資料です。
相手の浮気
浮気の証拠集め
配偶者に浮気の疑いがあり、それを理由に離婚を考える場合、怒りにまかせて相手を問い詰めると逆効果です。相手は、浮気を否定して慎重に行動し、浮気の証拠も隠されてしまう可能性があるからです。
調停や裁判などで、浮気を理由に有利な離婚を成立させるには、浮気の証拠を集めておくことが不可欠です。
証拠集めの最大のポイントは、「性的関係を証明できるか」です。
典型的な証拠は、ラブホテルに二人で出入りしている様子を写真や動画で撮影したものです。写真や動画は、顔がはっきり確認できるように撮影し、日付を入れておくことも重要です。
また、メールの内容などの状況証拠などもすべて集めておきましょう。
浮気が疑われるときに集めておきたい証拠
考えられるものとして、次のようなものがあります。
- 領収書
日付、利用した人数、支払いの内容などを記録します。 - カードの利用明細書
日付、支払いの内容などを記録します。 - スマートフォン
通話履歴やアドレス帳を確認し、通話先の電話番号や名前などを控えておきましょう。保存してある写真は、転送するなどしておきます。
浮気を連想させるメールの文面があれば、転送しておきます。 - 交通機関のICカード
利用履歴を券売機で印字し、記録に残しておきます。買い物履歴のチェックも可能です。 - Facebook、X(旧Twitter)、LINEなどのSNS
浮気の状況証拠となる文面や写真データを保存しておきます。 - 写真・動画
二人で会っている様子を撮影します。ラブホテルに出入りしている様子などは、性的関係の裏付けになりやすいものです。
性格の不一致
夫婦関係の破綻を証明していく
そもそも夫婦の価値観は違っていて当然ですし、性格の不一致といっても夫婦のどちらかが絶対的に悪いというわけではありません。
そのため、自分が離婚したいと思っても、相手が離婚を望まず関係修復のために誠実な努力をはらっている場合は、性格の不一致だけを理由に離婚を認めてもらうのは難しいといえます。
性格の不一致が離婚理由として認められるのは、修復しがたいほどに夫婦関係が破綻しているときです。
夫婦関係の破綻を証明するには、長期間の別居をする、ケンカをしたときの記録をつけておくなどの方法があります。
また「過去に浮気をされた」など、ほかの要因と組み合わせて離婚を主張すると認められる可能性があります。
性格の不一致で離婚するための方法
1. 夫婦関係の破綻を証明します
証拠となるものとしては、次のようなものがあります。
- ケンカのときの録音
- ケンカのメモや日記
- メールのやり取り
- 第三者の証言
2. 性格の不一致を、ほかの要因と組み合わせる
性格の不一致と組み合わせできるような要因としては、次のような要因が考えられます。
- 過去に浮気があった
- 家に帰ってこない
- 家計にお金を入れない
- 過去に暴力をふるわれた
熟年離婚
熟年離婚の現実
熟年離婚で多いのが、価値観の違いや性格の不一致が積み重なり、子どもの自立などをきっかけに離婚を決断するパターンです。
熟年離婚の準備
熟年離婚を考えるときに重要なのは、離婚後の生活資金を確保できるかどうかです。
専業主婦の場合、離婚後にも定期収入を得られるのがいちばんですが、高齢になるほど就業の機会は減少します。
配偶者の退職が迫っている、あるいは退職後間もないときには退職金を財産分与として請求できるのかも確認したいところです。
また、将来、夫が受け取る年金額の半分をもらえると誤解されがちですが、実際に分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金です。国民年金は分割できないので、注意が必要です。
離婚後の収入・財産の確保が重要
1. 離婚後の定期収入を確保する
婚姻中も仕事をしていた人は、引き続き就業できる環境を整えます。
無職の人は、新たに仕事を探す必要があります。ハローワークでは、中高年向けの求人紹介やセミナーを行なっています。
サラリーマンや公務員の妻だった場合は、どの程度年金を分割して受け取ることができるか年金事務所で試算してもらいましょう。
2. 退職金を財産分与に含める
配偶者の退職金の支払い前後は、退職金も財産分与の対象となります。
退職金の支払いがまだ行われていない場合は、確実に支払われるかを確認しておきます。すでに支払いがあった場合は、残金がどの程度あるかを確認しておきます。専業主婦の場合、退職金は離婚後の生活資金となります。
相手方の借金
借金の額の把握
婚姻期間中に、相手が消費者金融で多額の借金をしてギャンブルに費やしていた、浮気相手に注ぎ込んでいたなどの場合は、夫婦の生活には無関係な借金ですので、財産分与の計算をするときに差し引かれずに済むのが一般的です。
ただし、相手の借金が多い場合、財産分与や慰謝料などを十分に取得できない可能性が高くなり、離婚後の生活設計にも支障が出ます。
相手の借金が疑われるときには、相手が借金を隠していないか、どれだけ借金があるのかを確認しておく必要があります。
同時に、これ以上借金を増やさないための手段も検討します。
消費者金融の利用明細書やカード会社からの請求書などは相手が多額の借金をした証拠としても活用できます。
相手に借金がある場合の対処方法
借金をこれ以上、増やさせない
日本貸金業協会に申告することにより、一定期間借金ができないようにします。
本人の届出が原則ですが、親族なども条件を満たせば申告することができます。登録手数料などの費用はかかりません。
方法としては、電話をしたうえで、協会で直接申告を行う、あるいは郵送で申告を行うことです。
問い合わせ先は、日本貸金業協会です。
日本貸金業協会:https://www.j-fsa.or.jp/
貸金業相談・紛争解決センター相談窓口:0570-051-051
借金の事実を証明する
消費者金融の利用明細書やカード会社からの請求書などがあれば、コピーしておきましょう。
借金の額を把握できるだけでなく、調停や裁判で相手に多額の借金があったことを証明する材料にもなります。
方法としては、次のようなものが考えられます。
- 購入した贅沢品の写真を撮る
- 生活費が入っていない預金通帳をコピーする
- 消費者金融からの利用明細書をコピーする
配偶者への伝え方
離婚するという気持ちが固まり、離婚後の不安要素も解消して、準備も整ったのであれば、相手へ伝えましょう。自分の気持ちを伝えないことには、何も進んでいきません。
伝え方は、対面して口頭で伝える方法が無難です。メールや手紙などで伝える方法もありますが、記録として後々残ることを忘れないでください。裁判になったときに、相手からこちらに不利な証拠として出される可能性もあります。
どのような手段で伝えるにも、最初は冷静かつシンプルに「離婚したい」ということだけを伝えましょう。まずは、離婚したい気持ちを理解してもらうことが大切です。条件などは、おいおい詰めていきましょう。伝える際は、くれぐれも感情的になってはいけません。一方的にならないよう注意しつつ、配偶者の気持ちも聞いてあげてください。
離婚したい理由がDVの場合は、弁護士など第三者に間に入ってもらいましょう。また、条件など話し合う際には、優先順位を決め、何回かに分けて話し合うようにしましょう。
家族や子どもへの伝え方
親や兄弟姉妹へ伝える際には、離婚後の生活の見通しもあわせて話すなど、余計な心配をかけないような配慮が必要です。力になってほしいことがあれば、あわせてお願いするとよいでしょう。特に子どもを連れての離婚の場合、周囲の協力が得られれば大変心強いものです。
子どもに伝えるときも子どもが理解できる年頃であれば、ごまかしたりせずに、真実を話す方がよいでしょう。離婚することを決断してよかったと前向きな気持ちを伝えれば、子どもも少しは安心するでしょう。離婚しても配偶者は子どもにとっては唯一の父親、母親です。子どもの心を傷つけないためにも、配偶者を悪くいうのはやめましょう。要するに、子どもに伝えるときは、不安を取り除く配慮をすることが大切です。
離婚を伝えるときの場所
離婚を切り出す場所は、相手の性格によって判断します。落ち着いて話をしたい場合は自宅で、相手が逆上する可能性があるときはカフェなどがよいでしょう。
離婚の意思の各種伝え方
第一に、口頭で伝える方法が一番よいでしょう。
丁寧に説明し、相手に話を聞いてもらう時間を作ることで、誤解を防ぐことができます。
第二に、電話の方法があります。
相手の表情や反応に左右されず、自分の気持ちを落ち着いて伝えることができます。
第三に、メールの方法があります。
メールは、相手の感情的な応対を防ぐことができます。改めて話し合いを作るきっかけとして送るときもあります。
第四に、手紙の方法があります。
手紙は、自分の主張を整理して書くことができます。相手に距離感を感じさせることもできます。
第五に、DVが原因のときの伝え方は、上記の方法と若干異なります。
DVが原因のときは、必ず第三者を介して伝えましょう。話し合いの場に、第三者に間に入ってもらい、話し合うことも必要かと思います。当事者間同士で直接伝えると逆上した相手から暴力を受ける可能性があります。
離婚を具体的に進める第一歩
離婚の意思をまずは伝えなければ、協議も何も、離婚する話し合いなどすべてがスタートしません。
時に「離婚話は、切り出した方が不利」と聞くこともありますが、特に根拠はなく、不確かな情報です。離婚話を切り出した後には、さまざまな条件について話し合う必要があります。有利不利があるとすれば、その交渉次第です。切り出すタイミングよりも、話し合いの内容が重要ということです。
相手に離婚を伝えることは勇気の要ることだと思いますが、まずここを通らなければ何もはじまりません。
説得力のある主張の準備
お互いの話し合いで離婚に合意できない場合、調停や裁判に移行することになります。調停や裁判では、離婚問題の解決を第三者にゆだねることになります。これは、第三者に向けて、説得力のある主張を準備する必要があるということです。
ですから、調停や裁判に備えるにあたって、まず自分の考えを明確にしておくことが欠かせません。「なぜ離婚したいのか」「調停や裁判で何を要求するか」「どういう条件なら合意できるか」などを改めて考え、準備しておきましょう。
また、調停や裁判について、情報を集めて勉強する、あるいは質問されそうなことについてあらかじめ回答を考えておくのも有効です。身近に経験者がいれば、相談するのもよいでしょう。また、専門の司法書士等に相談するのもひとつの対策です。
裁判へと進む場合は、どうしても法律の専門家である弁護士に依頼する必要があるかと思います。なぜなら、相手方も弁護士を依頼することが考えられるからです。
なお、地元の各役所で市民相談・司法書士相談などの無料相談を実施していますから、相談をしてアドバイスをもらうのもひとつの方法です。
証拠の収集
離婚裁判を起こす場合、離婚の理由とその理由を裏付ける証拠は不可欠です。その前段階の離婚協議や調停の際にも証拠があれば話を有利に進められるでしょう。離婚について考えるようになったら、何ごとも証拠を集めておくことに越したことはありません。
相手の浮気が離婚理由となる場合、浮気の事実を決定付ける写真や動画、メールのやりとり、携帯電話の履歴などが証拠となります。
DVであれば、病院の診断書やケガの写真が証拠となるでしょう。
モラルハラスメントであれば、日々の暴言や態度を記した日記や音声記録、病院の診断書が証拠として役立ちます。
ギャンブルであれば、借金の明細書や大金を引き出していることを示す通帳のコピーなど、浪費を示すものが証拠となりえます。
それらの証拠をできるだけ自分自身や周囲の協力のもと集めつつ、難しいものは調査会社に依頼するという方法があります。調査会社は、離婚の局面では浮気調査や素行調査、相手が行方不明になった場合の捜索などで多く利用されます。浮気調査を専門とする調査会社もあります。
専門家の活用
浮気が離婚原因の場合、決定的な証拠を掴むために、調査会社に依頼する人が多いようです。調査会社は、依頼内容や調査に要する時間によって、調査にかかる費用が異なりますが、いずれにしろ高額です。
自分で集めた間接的な証拠だけでも配偶者の浮気を立証することが可能な場合があるので、経済面もよく考えて調査会社に依頼すべきかどうかを決めましょう。
また、依頼する場合も調査がなるべく短期間で済むよう、事前に配偶者の行動パターンを把握しておくことが大切です。
調停や裁判で証拠となるもの
離婚を有利に進めたいときは、必ず証拠を集めておくようにしましょう。「性格の不一致」などで離婚したい場合にも、証拠集めをするに越したことはありません。
浮気、DV、モラルハラスメント、ギャンブルの各種原因について、証拠となるものの例を検討しましょう。
- 浮気の証拠となるものの例
- 二人でホテルに出入りするときの写真や動画
- メールのやり取り
- 携帯電話の履歴
- ホテルやレストラン、プレゼントのレシート
- DVの証拠となるものの例
- 病院の診断書
- ケガの写真
- 言動を録音した音声のデータ
- 警察への相談実績
- モラルハラスメントの証拠となるものの例
- 暴言を受けた日々について書いた日記
- 暴言を録音した音声のデータ
- 病院の診断書
- 経済的な束縛を示す家計簿
- ギャンブルの証拠となるものの例
- 借金の利用明細
- 通帳のコピー
- カードの利用明細
- 領収書
DVの証拠集め
DV(ドメスティック バイオレンス)とは、パートナーなど親密な関係にある相手方から受ける暴力のことをいいます。夫婦間では、夫から妻へのDVが多いようですが、妻に親族が加わり、夫への暴力を加えることもあります。ここでいう「暴力」とは、身体的な暴力はもちろん、精神的、性的、経済的な暴力も含まれます。
DVを受けたときは、医師の診断書をもらう、被害の様子を写真・動画に撮るなどの記録をとっておきます。暴力の最中に記録の収集は困難ですが、暴力の跡が残ったときなどは、写真・動画に残すことは可能でしょう。のちに、警察に被害届を出すときや、離婚裁判で証拠として役立ちます。
DV被害には複数の相談先があります。警察や女性センターなどに相談した記録は、個人情報開示手続きで取り寄せておきましょう。別居時に転居先を知らせないこと、保護命令や裁判の証拠とすることに役立ちます。
避難場所の確保
夫婦の一方から暴力を受けているときは、被害の拡大を防ぐために一刻も早く別居すべきです。安全な別居先が見つけにくい場合は、警察または都道府県に設置されている配偶者暴力相談支援センターに、相談すると一時保護などの措置を受けることができます。
また、NPO法人や社会福祉法人などの民間団体によって運営されている民間シェルターでも、被害者の一時的な受け入れを行っています。こうした施設は被害者の安全を確保するために、所在地が非公開となっています。
入所希望者は、最寄りの女性センターや福祉事務所に相談して、入所が必要と判断されると避難することができます。ただし、受け入れ定員数が少なく満室の場合もあるので、注意が必要です。
シェルターでは、弁護士や福祉事務所などの相談を受けながら、新しい住居への入居や生活保護受給の手続き、就職活動などのサポートを受けることができます。
DVの被害者が、生命・身体に重大な被害を受けるおそれが大きいときは、被害者が裁判所に申し立てを行い、加害者に対して保護命令を出すことができます。
命令の内容には、接近禁止命令、退去命令、電話などの禁止命令などがあります。加害者が保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
保護命令は、配偶者からの暴力で、生命・身体に重大な危害を受けるおそれがあるときに、裁判所が出す命令です。この制度は2001年に施行されDV防止法によって設けられました。
DVの内容
DVに含まれるものとして、次のようなものがあります。
- 身体的暴力
殴る、平手で打つ、モノを投げつける、などがあります。 - 精神的暴力
大声で怒鳴る、暴言を浴びせる、無視する、などです。 - 性的暴力
性的関係を強要する、中絶を強要する、などです。 - 経済的暴力
生活費を渡さない、外で働くことを許さない、などが該当します。 - 社会的暴力
人間関係を監視・制限する、行動を無視・制限するなどがあります。
保護命令の内容
- 被害者への接近禁止命令
6か月間、加害者が被害者につきまとう、住居兼勤務先など被害者の近くを徘徊することが、禁止されます。 - 退去命令
加害者に2か月間、家から出ていくように命じます。退去した家の付近を徘徊することも禁止されます。 - 電話などの禁止命令
面会の要求、行動の監視、乱暴な言動、連続してのメール・ファックス・電話を禁じられます。 - 被害者の未成年の子への接近禁止命令
被害者と同居する子へのつきまといを禁止します。 - 被害者の親族などへの接近禁止命令
被害者と密接な関係のある者へのつきまといを禁止します。
別居の決断
離婚を考えているとき、冷静に話し合うためにも別居という手段は有効です。
別居をすることで、離婚後の生活をイメージすることができ、離婚という選択肢が正しいかを判断する機会もえられます。また、短期間の別居は、夫婦間の修復に役立つこともあります。お互いに冷静に考えることができるからです。
夫婦は法律で同居が義務付けられています。そのため、夫婦が合意したうえで、別居をするのが原則です。別居に合意できている場合は、婚姻費用の支払いについて夫婦共同で調停を行い、調停調書を作成しておくと安心です。
どうしても合意できない場合でも、別居することもできます。たとえば、浮気をしている夫が妻子を捨てて別居し、生活費も払わず連絡先も隠しているといった極端な状況ではない限り、裁判所で「悪意の遺棄」などと評価されることはありません。配偶者によるモラハラやDVを受けており、合意なく別居するしかないこともあります。
離婚後の話し合いのために、別居後の住所は知らせておくようにしましょう。ただし、DVなどの理由があれば知らせる必要はありません。
別居の際の持ちもの
別居中に勝手に財産を処分されるおそれもありますので、残高がわかる預金通帳のコピーなど、財産を証明できる資料を持ち出しておきます。
将来の離婚の際に親権がほしいなら、子どもをおいて別居しないようにすることが大切です。子どもと同伴で別居することが、将来の親権取得に有利に働くことが多いようです。
結婚前から持っていたもの、自分のお金で購入したもの、個人的にもらったものなどは持ち出すことができます。自分名義の預金通帳は当然ながら持ち出すようにしましょう。
結婚後に購入して共同で使っていたものは夫婦の共有財産になります。持ち出しても罪にはなりませんが、相手の心証を悪くして離婚に向けての話し合いを難しくする可能性があります。
同様に相手の持ちものや家具・家電製品なども合意できた範囲で、相手が困らない範囲で持ち出すのが賢明です。
別居のメリット
やむをえず別居するときも次のようなメリットがあります。
- 冷静に離婚に向けた話し合いができます。同居していて常時顔を見合わせている場合よりも、お互い単身となることで冷静になることは明白です。
- 別居することで、自分の気持ちを見つめ直すことができます。また、関係修復できる可能性もあります。十分に考えずに別居したことを考えなおし、自分が悪かったと反省すれば元の関係に戻る可能性も出てくるのです。
- 離婚したあとの生活をイメージできます。将来の離婚を考え別居したのであれば、それに向けた生活を想像し準備ができます。
- 子どもに夫婦の対立を見られる心配がなくなります。夫婦間のケンカは子どもにとって思いがけない悪影響を及ぼします。このような対立関係を子どもに見せることがなくなります。
- 相手方からDV・モラハラ被害を受けていた場合は、そのようなことから脱することができます。
別居のデメリット
別居は当然ながら、種々のデメリットを抱えます。
- 生活費など金銭的な負担が増えます。別居前から適当な報酬を得ていた場合はともかく、専業主婦であった場合はこれから職をえるわけですから、金銭的にも裕福でなく経済的な負担はやむをえません。
- 無職の場合は、すぐに仕事が見つかるとは限りません。仕事を見つけても、最初から高給は期待できません。
- 周囲から厳しい目で見られることが、ままあります。昔ほど厳しい現実ではありませんが、詮索する近所の人は必ずいるものです。そういう人から好奇心で見られることがあるでしょう。
- 生活のリズムが崩れることもあります。同居していた場合と違い、従来と異なった生活のリズムはやむをえません。
- 子どもがいる場合、どちらが子どもと一緒に住むかで争いが起こることがあります。子どもの意思を無視して争い合い、子どもの心に傷をつけることもあります。
別居前の準備
別居後のお金の準備
別居中の経済的な計画を立てて、別居中の婚姻費用についても話し合いをします。
円満に別居できない場合は話し合いも難しいでしょうが、なんとか婚姻費用については請求できるように対策を考えましょう。
子どもの住む場所
別居に際して子どもがいる場合には、夫婦のどちらが子どもと住むかを決めなければなりません。親権者の決定にもかかわるので、慎重に考えたいものです。子どもの意思も尊重して、決定したいものです。
必要なものの持ち出し
- 自分名義の通帳・実印・キャッシュカード
- 印鑑
- パスポート、運転免許証
これらは身分証明としても必要です - 健康保険証・年金証書
- 相手が不倫をした場合の証拠となるもの
- 子どもの持ちもの
- 現金
- 写真など思い出の品
別居先の住所の秘密
DVの被害者が別居する場合、配偶者に別居先の住所を知られたくはありません。そのために住民票の閲覧を制限することができます。この制度を利用する条件には、① DV被害者であり、生命または身体に被害を受ける可能性があること、② 警察に相談した、被害届を出した、閲覧制限の必要性があると判断される必要があります。
子どもとの関係
親権をとるためには、前述のように子どもをおいて別居しないことが重要です。別居に合意できないときでも、家を出ることもできますが、子どもは連れていきたいものです。
経済的な問題などを理由に「家庭内別居」をする夫婦もいますが、争ったり口もきかなかったりする姿は、子どものストレスの原因となるので注意が必要です。
離婚前後の住まい
離婚が成立するまでは、夫婦はひとつの家に同居していますが、離婚が成立すると、夫婦のいずれかあるいは両方が家を出て新しい生活をはじめることになります。離婚成立前に、離婚の話し合いのために別居することもあります。
相手が家を出る場合はそのまま同じ家に住み続けることになります。離婚時の財産分与で家を受け取ることができれば、転居の必要はありません。
実家に頼る方法
自分が家を出る場合、費用、手続きの面でもっとも負担が少ないのが、実家に戻るという選択です。親に相談でき、子どもがいる場合は面倒をみてもらえるという安心感もあります。ただし、親が離婚に反対しているときは、決して居心地のよい住居とはいえません。経済的、精神的にも長期間にわたって親に頼るのが難しいこともあります。
期間を決めて実家に住む、子育てや金銭面で親の助けを借りる範囲を決めておくなどの準備が求められることもあるでしょう。
その他の住宅の選択肢
実家以外の住まいとして一般的なのが、賃貸住宅です。賃貸住宅の契約には、敷金・礼金などのまとまった初期費用がかかります。無職であれば、社会的な信用が低いとみなされるので、部屋を借りるのは難しいといえます。
賃貸物件によっては保証人を頼める人がいれば、契約しやすくなります。保証会社にお金を払って保証契約を結んでもらう仕組みもあるので、不動産会社に確認してみましょう。一人親を積極的に受け入れるシェアハウス(ひとつの家を複数の家族・人で共有して暮らすための物件)もあります。
なお、敷金・礼金ゼロ円物件に注意を要する場合があります。
敷金・礼金ゼロ円の賃貸では、「高額のルームクリーニング代を請求される」「退去時に多額の費用がかかる」などのトラブルもあるようなので注意をしましょう。
都道府県や市区町村が管理している公営住宅を借りると月々の家賃負担は軽くなります。所得が決められた基準内であることなどの条件を満たす必要があり、入居の応募者が多いときには抽選となります。
離婚後の住まいの選択肢
住んでいた家
メリット
- 持ち家の場合、家賃がかかりません
- 生活環境が変わりません
- 子どもの通学に支障がありません
デメリット
- 持ち家の場合、ローンを支払わなければならないことがあります
- 賃貸の場合、家賃の負担を抱えきれないことがあります
実家
メリット
- 初期費用がかかりません
- 手続きがいりません
- 親に相談できます
- 子どもの面倒をみてもらえます
- 生活費が抑えられます
デメリット
- 親との関係が悪化することもあります
- 親に経済的・精神的な負担がかかります
- 親にあまえすぎて自立が難しくなることがあります
- 生活に干渉を受けることがあります
賃貸住宅
メリット
- 誰にも気兼ねなく住むことができます
- 条件を満たせばすぐに借りられます
- 住む場所は自由に決めることができます
- 転居がしやすいです
デメリット
- 敷金・礼金などの初期費用がかかります
- 毎月の家賃負担が大きいです
- 保証人がいないと契約しにくい場合があります
公営住宅
メリット
- 賃貸住宅と比べて家賃が安いです
- 更新料がかかりません
- 一人親世帯などが優先的に入居できます
デメリット
- 応募資格を満たさなければなりません
- 抽選で入居できない場合があります
- 入居時期が決められていることがあります
親権争い
子どもがいる場合、必ず親権者を決めなければ離婚を成立させることはできません。二親のどちらかが親権者になるので、場合によっては親権をめぐって争いが起こることも考えられます。
まずは自分が親権者になりたいかを考え、親権者になりたい場合は準備を進める必要があります。親権者を決めるときに大きな判断要素の一つとなるのが「子どもの現在の生活」です。子どもを保護して育てている親が、親権者としてふさわしいと判断される可能性があるということです。
そのため、親権者になりたいと考えるための準備は、子どもを手放さないようにすることです。離婚に向けて別居するときには、子どもを置いて出ないことです。逆に相手が家を出るときには、子どもを渡さないことが大切です。一度子どもと離れてしまうと、あとで引き取りたいと思っても拒否されるケースが多いので、難しくなると知っておく必要があります。
子どもの生活費の試算
離婚によって子どもの生活が脅かされるようなことがあってはなりません。離婚後、未成年の子どもは、独り立ちするまで養育費を受ける権利があります。離婚にあたっては、二親がどのように養育費を負担するかを話し合うことになります。それに備えて、子どもの生活費はどの程度必要なのかを試算しておくことも大切です。まず、夫婦それぞれの収入を把握したうえで、子どもの衣食住の費用や教育費、医療費などがどれだけかかるのかを確認していきます。保険会社のウェブサイトでは、進学先に応じた教育費の目安などが掲載されているので参考になります。
子ども進学先の確認
子どもを連れて引っ越しを検討する場合は、子どもの学校の転校手続きや保育園・幼稚園の転園を考える必要があります。子どもの進学時期などにあわせて、離婚のタイミングを決定するのも一つの方法です。手続きについては、市区町村役場やそれぞれの学校に確認しておきましょう。一人親家庭は、保育園の入園が優先されやすくなりますが、自治体や時期によっては待機児童数が多く、すぐに入園できるとは限りません。仕事をしていることも入園の優先条件となることが多いため、専業主婦のひとは就職の準備を進めておく必要があります。
仕事を持ちながら子育てをするときは、放課後や学校の休み期間中あるいは病気のときの子どもの預け先を調べておくことも大切です。一人親家庭が受けられる手当や支援もあるので、市区町村役場の窓口で話を聞いておくことも大切です。
就職は離婚前にするのが理想
現在職についていない場合は、離婚後の生活に備えて早めに職探しをしておきたいところです。特に一人親の職探しは厳しいのが現実です。残念なことですが偏見を持っている人もいますし、子どもが体調を崩したときに休むとなると、採用側も消極的になりがちです。
職探しにあたっては、高望みをしないことが肝心です。正社員になるのが難しいときは、パート社員やアルバイトからはじめて、登用制度によりステップアップをする方法もあります。
最低限生活に必要なお金がわかっていれば、どの条件まで妥協できるかわかります。また、ハローワークが行なっている就職支援制度を利用するのもよいでしょう。
離婚前の資格取得
できるだけ有利な就職ができるように、スキルアップしておくことも大切です。特にIT系の職場などでは、求められるスキルも日々変化しているので、独身時代に就職経験があっても通用するとは限らないと知っておくべきです。最低限のスキルとして、パソコンの基本操作は必須といえます。各種の講習や書籍などで身につけておきましょう。
ハローワークが行う就職支援制度では、パソコンの操作や専門職のスキルを教えるものから、就職活動のノウハウやアドバイスを提供するものまであります。また、こうした制度を活用するにあたって、一人親向けに託児サービスを提供しているところもあります。最寄りのハローワークに問い合わせてみましょう。一般的に、専門的な資格を持っていると就職には有利です。
離婚前から学校に通って資格取得に向けた勉強をしておく方法もあります。資格の難易度によっては準備期間が長期化します。
離婚に先立って、資格を取得するのがベストですが、アルバイトをしながら資格取得の勉強をして正社員を目指す道もあります。
離婚の手続き費用
離婚では、手続き自体にもお金が必要です。この費用がどのくらい必要なのかチェックし、準備しておくことも大切です。
協議離婚であれば、ほとんど費用はかかりませんが、話し合った内容を公正証書にする場合は、作成費用がかかります。作成を、司法書士などの専門家に依頼すると費用はかかりますが、考えた文案をチェックしてくれたり、法律的なポイントを押さえてくれたりするので安心です。
調停離婚の場合は、自分で手続きをすれば、1,000円程度の収入印紙代と郵便切手代だけで済みます。弁護士に依頼すれば費用が高くなりますので、美馬司法書士事務所では安価に離婚調停の申込書を作成いたします。また、家庭裁判所に出頭する場合のノウハウもお教えします。
裁判離婚を選択する場合は、裁判を起こすための印紙代などが必要になります。調停も裁判も、結論が出るまでは数ヶ月から長いときは一年以上かかることもあります。その間、何度も裁判所に出向くことになるので、その交通費がかかるほか、仕事を休んで裁判所に行くとなると、その分の収入が減ることも考えられます。
調査会社の費用・弁護士費用
離婚の原因が相手方にあることを証明したいとき、調査会社に証拠集めを依頼すると、高額の調査費用が必要になります。
調停手続きは自分一人でできますが、裁判離婚となると手続きが複雑であり、弁護士への依頼が必要になるでしょう。弁護士と契約するときには、相談料、着手金、報酬、日当、実費などの諸経費がかかります。
離婚手続き中のお金
離婚の手続きを進めるために別居を選択したときは、その間の生活費を準備しておかなければなりません。アパートなどを借りるなら引っ越し費用に加えて、敷金・礼金などまとまったお金が必要です。家電製品や日用品を買い揃えるときは、購入費用を試算しておく必要があるでしょう。
別居中の生活費は婚姻費用として扶養能力のある方が、負担する義務があります。収入のない専業主婦などは、夫婦の話し合いで合意できたときや家庭裁判所で支払いを命ずる審判が出たときは、別途費用を負担してもらえる可能性があります。
ただし、婚姻費用だけでは生活費が十分にまかなえないことはありえます。また、裁判所で婚姻費用の支払いを命じる審判が出ても支払われず、差し押さえる財産もない場合は、婚姻費用は得られません。
最初から婚姻費用を当てにするのではなく、ある程度の貯金をしておくなどの計画が必要になります。
離婚後の生活費
離婚に際して、財産分与や慰謝料を得ることはできたとしても、それだけで十分なお金を得られることは、一般的にあまりありません。行き当たりばったりではなく、離婚後のお金のやりくりを考えてみましょう。毎月の衣食住にかかるお金のほか、通信費や医療費、子どもの教育費など、わかる範囲ですべて書き出して確認してください。
毎月必要な最低限のお金がわかったら、収入の見込みを計算します。仕事をしている人は、月収がベースとなります。児童扶養手当てなどの公的支援の内容と金額もチェックしておきます。養育費を受け取る予定があれば、お互いの収入をもとに算定表からおおよその養育費がわかります。
これらすべてわかった範囲で、表などに書き出してみましょう。ただし、養育費が支払われなくなることに備えて、養育費は貯金にまわすつもりで予定しておくのが懸命です。
収支をもとに計画をする
毎月の生活費に対して、収入が足りないと予想されるときは、「就職・転職する」「仕事を増やす」などの選択肢を検討しなければなりません。キャリアにブランクがある人は、ハローワークの職業訓練制度を利用して、職業訓練校に通うのもひとつの方法です。
安定した収入を確保してから、別居や離婚の話し合いを切り出すのが理想です。どうしてもすぐに収入を増やす見通しが立たないときには、離婚の準備を遅らせる、実家に戻って家賃の負担を抑えるなどを考えるのがよいでしょう。
離婚後のお金のやりくりを慎重に判断したうえで、余裕をもったスケジュールを立てることが大切です。
なお、養育費の約束は守られないことが多々あります。離婚母子家庭で養育費を受けている割合は、約24%です。養育費の支払いが遵守されない厳しい現状です。
離婚に向けての準備
離婚は、特別珍しいことではありません。近年の離婚件数は、「約2分に1組」のペースと数多くの離婚が成立しています。
離婚は、法的な手続きであり、離婚届を役所に提出して、夫婦のうち一方の籍が抜かれることで成立します。後悔しないように、離婚に向けて準備すべきことを整えてから司法書士などに相談しましょう。
離婚に向けて準備すべきこと
1:離婚の理由を明確にすること
協議離婚には、夫婦の合意が必要となるため、相手を説得できるだけの明確な離婚理由を準備しておく必要があります。
裁判での解決を目指すときには、法律で認められた離婚理由に該当しているかが問われるため、具体的な証拠なども準備しておく必要があります。
2:お金の準備
離婚を成立させるまでの手続きそのものにもお金がかかりますが(特に裁判離婚)、離婚後の生活を成り立たせるためには、長期的な視野から経済的な収支を見通しておくことが大切です。
財産分与の話合いに備えて、結婚後に築いた財産がどのくらいあるのか確認しておくことが必要です。
裁判費用や専門家に支払う費用など、離婚の手続きに備えてお金の準備はどうしても必要です。
3:子どものための準備
親権者になりたいときは、子どもを引き取るための準備をする必要があります。
子どもの進路や預け先についても調べておく必要があるでしょう。
養育費がどれくらいになるかを調べておくことも非常に大切です。
離婚後の問題
お金の問題
離婚したら、収入や子どもとの生活に大きな変化が生まれます。どんなことが起きるのか、何に困るのかなど、各種事例を調べながら自ら想定しておく必要があります。
離婚すると直面するのがまずお金の問題です。
離婚前から働いていて、離婚後も仕事を続ける見通しが立っている人はすぐに生活費に困ることはないかもしれません。しかし、長年専業主婦として生活してきた人は、生活費を確保するために仕事を探す必要があります。正社員として就職するのは決して簡単ではありません。近年の統計では、パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者の割合は、労働者全体の38.3%というデータがあります。
離婚後の生活場所についても、あらかじめ考えておく必要があります。離婚後には、夫婦のどちらか(あるいは両方)が新しい住まいを探すことになります。住居を借りる場合には、敷金・礼金、引越し費用などがかかります。実家に頼ることができるなら、実家に転居することも一つの方法です。
子どもの問題
子どもについては、どちらが引き取って育てるかという問題だけでなく、養育費の支払いをどうするかも大きな問題です。仕事と育児の両立を目指すのであれば、子どもの預け先についてもしっかりと考えなければなりません。
子ども本人が両親の離婚をどう受け止めるのかという精神面でのケアも重要です。離婚したからといって、必ず子どもが不幸になるわけではありませんが、子どもの幸福を第一に考えることが大切です。
また、親の介護を抱えている場合は、介護と仕事、育児との両立をどうするのかも考えておかなければならなりません。
財産の把握
離婚するまでには、さまざまなお金の問題をクリアしなければなりません。まず離婚まで別居する場合、婚姻費用の分担が問題になります。これは、扶養能力のある方が、生活費を支払うというものです。
結婚している間に築いた財産は、どちらの名義になっていても共有財産として分割します(財産分与)。
このほか、結婚生活を破綻させた側が支払う慰謝料や、将来の生活費として受け取る年金の分割、離婚後の子育てに必要なお金、子どもと別居している親が支払う養育費などがあります。
財産の把握時期
一度離婚を切り出してしまうと、相手がもっている通帳などをチェックするのは難しくなります。離婚を考えた時点で、財産の把握をはじめましょう。財産の内容がわからないと話し合いもできず、請求額が減る、請求ができないなどのおそれもあります。
なお、財産はプラスの財産だけとは限りません。住宅ローンや借金など、マイナスの財産もどのくらいあるのかをチェックしておきましょう。これらは、財産から差し引かれることになるからです。
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