離婚・婚姻の専門解説離婚Q&A
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2017年12月8日
離婚Q&A
離婚のいろいろQ&A
離婚に関する疑問・解答をQ&A形式で紹介しています。詳しくは各解説を補助としてご覧ください。 Q:離婚後も今の姓を名乗ることはできますか。 離婚後も婚姻中の姓(氏)を使うことは可能です。ただし、離婚届を提出する際または離婚後3…
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2017年12月5日
離婚Q&A
慰謝料・財産分与 Q&A
慰謝料・財産分与に関する疑問・解答をQ&A形式で紹介しています。詳しくは各解説を補助としてご覧ください。 Q:離婚をするが、慰謝料はどのくらいもらえるのですか。 離婚にともなう慰謝料というのは、離婚となった原因を作った側が、相…
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2017年12月4日
離婚Q&A
子供や養育費 Q&A
子供や養育費に関する疑問・解答をQ&A形式で紹介しています。詳しくは各解説を補助としてご覧ください。 Q:相手が親権を主張して離婚の話が進みません。離婚をどう進めたらいいでしょうか。 親権の中には、監護権といい子供の身上監護を…
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2017年11月11日
離婚Q&A
離婚原因 Q&A
離婚原因に関する疑問・解答をQ&A形式で紹介しています。詳しくは各解説を補助としてご覧ください。 Q:長く続く別居状態は離婚の原因になりますか。 別居状態であるにもかかわらず、一方が離婚に合意しない場合は調停へと移行することが…
離婚請求を認めるか、認めないか
ひと通りの審理が終わると、以下の点を考慮しつつ、担当裁判官の判断で判決が下されます。
- 原告と被告では、いずれの主張に合理性があるか。
- 証拠のうち、事実として認められるのはどれか。
- 認められた事実のうち、重要なものはどれか。
たとえば、「浮気をした事実」と「浮気後、誠実に対応している事実」の両方が事実と認められた場合、前者が重視れます。
判決言い渡し日に原告の離婚請求を認めるか、棄却されるかが言い渡され、裁判が終了します。その日は出廷しなくてもよく、判決書が双方に送られます。
なお、原告が訴えを取り下げた場合や被告が原告の訴えを全面的に受け入れた場合(認諾)、両者が和解した場合も裁判は終了します。
判決に不服なら上級裁判所で再審理
判決で離婚請求が認められても、調停とは異なり、すぐに離婚は確定しません。判決に不服がある場合、上級裁判所に訴えれば(上訴)、判決の確定は先延ばしされ、裁判が続きます。
家庭裁判所の判決後、まず高等裁判所へ上訴(控訴)し、高等裁判所の判決にも不服があるときは、最高裁判所へ上訴(上告)することができます。ただし、最高裁判所は、法律の解釈をする場なので、浮気などの事実などを巡って争うことができるのは、高等裁判所までです。
控訴するのは、裁判で敗訴した側だけとも限りません。離婚請求が認められた側も財産分与や慰謝料、親権、養育費などの請求についての判決に不服の場合は、その部分について控訴することになります。離婚だけ先に成立させたい場合は、裁判を継続しながらも協議離婚の形式をとって離婚届を提出することはできます。
控訴する場合、判決書が送達された日から二週間以内に控訴状を提出し、50日以内に控訴理由をまとめた「控訴理由書」を提出します。
控訴・上告が行われなければ、その期間が終わった時点で判決が確定します。判決が離婚の請求を認めるものであれば、その時点で離婚も確定します。
離婚の判決確定後の手続き
10日以内に離婚届の提出が必要
離婚を認める判決が確定したら、確定日を含む10日以内に離婚届を提出する必要があります。これは、戸籍に離婚の成立を記載するための手続きであり、行わないと戸籍法違反になるので注意が必要です。
離婚届は、通常離婚を請求した側が提出します。協議離婚のときとは異なり、相手の署名押印や承認は必要ありません。
離婚届とともに「判決書謄本」「判決確定証明書」を市区町村役場に提出します。
裁判途中の和解
裁判所からの和解の勧告
本人尋問など、原告と被告の当人が顔をそろえる日には、裁判所から和解を勧められます。ここでいう和解とは、「お互い仲良くしなさい」という意味ではなく、「判決を待たずにこのぐらいで手を打ってはどうか」ということです。
和解の話し合いは、法廷ではなく別室で行われます。裁判官などが間に入りながら、原告と被告が話し合いを進めます。日本では、離婚裁判を起こした夫婦の4割以上が和解を受け入れています。和解にもそれなりにメリットがあるからです。
ひとつには、条件を自由に設定できる点、和解ではどんな条件で手を打つかを自由に決められます。当初の訴えになかった条件も、ある程度は指定できます。一方、判決は訴状に書かれた件に関してしか、決定を下せません。
もうひとつは、現実的な条件で決着がつく点です。裁判を通じて相手も自分も「折り合いのつけどころ」がわかってきているからです。
和解か判決かを考える
和解では、判決を待つよりも早くに離婚が成立します。和解が成立した時点で、和解調書が作成され離婚が確定します。
また、和解の場合、判決よりも一般的に慰謝料や養育費などの支払いが取り決めた通りに守られる可能性が高くなるといわれています。納得していないことを命令されるのではなく、自分で納得して合意するからです。
裁判官の和解勧告は、強制ではありませんから、納得がいかなければ応じる必要はありません。しかし、これ以上裁判を続けてもメリットがない、勝訴しても相手の控訴で裁判が泥沼化するおそれがある場合などは、和解に応じた方がよいとも考えられます。
和解の申し入れは、裁判の継続中ならばいつでも可能です。相手の出方をみながら判決と和解と、どちらか得かをじっくり考えてもよいでしょう。
認諾離婚
和解以外の手段として、被告側が認諾する認諾離婚という選択もあります。これは訴状に書かれた内容を被告が全面的に受け入れるもので、いわば被告の全面降伏です。その時点で離婚が確定します。
ただし、認諾ができるのは、訴えに親権問題が含まれていない場合だけです。そのため、年に十数例しかない極めて稀なケースとなっています。
書面で互いの言い分を交換
家庭裁判所に訴状を提出すると、原告と被告には第一回の口頭弁論(裁判)の期日を記した呼出状が届きます。第一回の口頭弁論は、訴状を出した1〜2か月後に原告の都合に合わせて開かれます。
第一回で行われるのは、訴えた内容に関して原告と被告、それぞれの主張を確認する作業です。原告側が訴状を被告側が答弁書をそれぞれ陳述します。
陳述とは、内容を声に出して読むことですが、実際の裁判では事前に相手方に訴状や答弁書が渡っているので、内容を確認し合うだけで終わります。
代理人(弁護士)がいれば、本人が出席する必要はありません。その後、次回の口頭弁論までにやっておくべきことが告げられます。「訴状や答弁書に反論する書類を作りなさい」「反論するための証拠を、書類にして提出しなさい」といったことです。
書類の提出期限と次回の期日を決めれば、だいたいは終了です。概ね10分で終了します。
2回目以降の口頭弁論は、一か月程度の間隔をおいて行われます。しばらくは、準備書面(相手に反論する文書)の陳述が繰り返されるだけです。こちらも代理人の出席で済みます。
なお、口頭弁論が行われているあいだに、被告側から逆に「離婚を求め、慰謝料〇〇万円の支払いを請求する」といった裁判(反訴)を起こすことがあります。家庭裁判所では、原告の起こした裁判(本訴)と反訴を同時に審議します。
ちなみに、口頭弁論とは、原告側と被告側がそれぞれ自分の主張とそれを裏付ける証拠を提出し、自分の主張が正しいという証明を試みることです。裁判官の目の前で行います。
本人が法廷で証言
準備書面を通じて、原告と被告それぞれの主張が整理され、証拠の提出が終わった段階で、本人尋問が行われます。
なお、離婚裁判ではあまりないことですが、証人尋問(原告・被告以外への尋問)も場合によっては行われます。たとえば、配偶者親族との不仲が離婚理由で、その親族が証人になる、といったケースです。
裁判は原則として公開されます。夫婦のプライバシーが公になることを覚悟しなければなりません。15歳以上の子どもの親権を争う場合は、裁判所は子ども本人の考えや意思を聞くことになりますが、このときには公開法廷ではなく、面接によって行われます。
本人尋問が終わると、相手の証言の矛盾点や反論を記した最終準備書面がやり取りされます。最後に判決が下され、裁判が終了します。
2回目以降の口頭弁論
2回目以降の口頭弁論は、月に1回程度行われます。
書面上で言い分を争い、主張が食い違っている点を明らかにします。
原告から証拠を提出し、主張の裏付けとします。
被告から証拠を提出し、原告の主張に反論します。
必要に応じて、証人尋問が行われます。
裁判官から和解の提案を受けます。
離婚裁判の尋問
本人尋問の対策
本人尋問では、原告も被告も当人が質問が受けることになります。誰でも緊張するのは当然の場ですので、事前の対策が必要です。
本人尋問は、結婚生活や離婚にいたる経緯、自分がどうしたいかをまとめた書類(陳述書)を事前に双方が提出し、それをもとに行われます。
具体的には、陳述書に書かれた内容について、「事実と認めるか、認めないか」を答える形になります。まずは自分側の弁護士からの質問に答え、その後、相手側の弁護士からの質問に答えます。最後に、裁判官からの質問に答えます。
準備としては、双方の陳述書が揃った段階で、弁護士に想定問題集を作成してもらいましょう。自分側の弁護士がどんな質問をし、相手側がどんな切り口で質問してくるかを想定しておけば、本番で焦らなくて済みます。
尋問のリハーサル
想定問題集を読んで覚えるだけでは失敗します。弁護士に本番のつもりで尋問をしてもらえるようにしましょう。実際と同じように声に出して答える練習を重ねておくことです。
相手側から想定外の質問をされた場合に、どうするかもしっかり打ち合わせしておくべきです。焦って陳述書と矛盾する証言をしてしまうと、主張の信用性が失われてしまいます。
そういうときは、こちらの弁護士が助け舟を出してくれますから、落ち着いてそれを待ちましょう。助けを出してもらいたいときのサインを事前に決めておくのもよいでしょう。
なお、尋問とは、原告・被告の代理人、および裁判官が原告・被告・証人に尋問をして、答えさせることです。 不適切な質問には、答えなくてよい場合があります。
離婚裁判提訴
調停で解決できない場合は、裁判所に訴状を出し、離婚裁判を起こすことになります。調停を経ずに裁判を起こすことはできません。
離婚裁判を起こすメリットは、判決により必ず決着がつくことにあります。ただし、自分の希望通りの結論が出なくてもしたがわなくてはなりません。裁判を起こすにあたっては、民法に定める4つの離婚理由のどれかを満たさなければなりません。離婚の訴えを起こした方を「原告」といい、起こされた方を「被告」といいます。
民法第770条
1. 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2. 裁判所は、前項第1号から第3号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
離婚裁判では、「離婚するかどうか」だけでなく、子どもの親権や養育費、財産の分け方、年金の分け方、慰謝料など離婚と同時に決めたいことについても一緒に申し立てることができます。
訴状の提出先は、夫婦のどちらかの住所地を受け持つ家庭裁判所です。調停を取り扱った家庭裁判所に取り扱ってもらえることもあります。訴状とともに、「離婚調停不成立調書」、夫婦の戸籍謄本、証拠となる書類のほか、必要な費用を添えます。
離婚裁判の開始
訴状を出すと、概ね1ないし2か月以内に原告と被告の双方に第一回口頭弁論の期日が通知されます。
被告人には訴状の副本(コピー)があわせて送られます。被告は「訴状の内容を認めるか認めないか」「認めない場合、理由はなぜか」を書いた答弁書を、家庭裁判所と原告に送り返します。
第一回の期日は、被告の都合を聞かずに設定されているため、答弁書の送付のみで家庭裁判所に出廷したのと同じように扱ってもらえます。
弁護士への依頼
訴状・答弁書は、自分でも作成できますが、証拠の書類など一緒に提出するものが多く、法律にしたがって準備する必要があります。弁護士に作成を依頼するのが一般的です。
裁判に入ってからも、法律に詳しい助言者がいなければ何もできません。原告は、離婚理由が事実だと証明する必要があり、被告もそれに反論する証拠を出していくことになります。
こうした証拠の使い方にも法律の知識やテクニックが求められます。弁護士に依頼せず進めると、依頼した場合と比較して、圧倒的に不利な状況に追い込まれます。
弁護士に依頼すれば、訴訟代理人として、手続きを代行してもらえるだけでなく、本人尋問(訴えが本当かどうかを確かめるための質疑応答)と和解の話合いのとき以外は、本人が家庭裁判所に出向かなくても弁護士に進めてもらえます。
裁判を有利に進めるためにも早い段階から、弁護士に依頼し、よく話し合っておきましょう。
なお、訴訟代理人とは、訴訟の当事者(原告や被告)のために、その本人の名前を使って訴訟に関するさまざまな事を代行する人です。弁護士でなければなりません。
弁護士費用がすぐに用意できないときは、法テラスを利用してください。法テラスでは、弁護士費用をすぐに支払う余裕がない人を対象に、費用を立て替える制度がありますので利用を検討しましょう。立て替えた費用は、原則として月額5000円〜1万円ずつ返済します。
申立書による調停の依頼
離婚において、相手方が話し合いを拒否している場合、または話し合いがまとまらない場合は、調停に進みます。離婚調停の申立てができるのは、当事者である夫か妻だけです。第三者からはできません。
申立ては相手の住所にある家庭裁判所に行います。その家裁が遠くにあり、通いやすい別の家裁で調停を行いたい場合は、相手の合意をとれば別の家裁で対応してもらえます。
申立書の用紙は家裁で受け取るほか、「裁判所」のホームページからダウンロードできます。必要書類を記入した申立書とともに夫婦の戸籍謄本、年金分割のための情報通知書などの必要書類を提出します。なお、申立書は調停相手にも送るので写しが1通必要です。
住所地を知られたくない場合
申立書には住所を書かなければなりません。ですが、DVの被害を受けて避難している場合など現住所を知られたくない場合は、相手に知られても構わない住所地(実家の住所など)を書いてもかまいません。その場合、現住所は家裁が作成する「連絡先などの届出書」に記載されます。
このほか、調停の進め方で「どうしても相手と顔を合わせたくない」「自分が先に帰宅できるようにしてほしい」など、相手とのデリケートな問題があるときは、申立ての際に相談することができます。
あるいは「進行に関する照会回答書」に記載すれば配慮してもらえる場合があります。この書類はもともと申立てた人が都合のとれない日など控えておくためであり、相手には見られません。
陳述書の添付
申立書と一緒に自分の言い分を陳述書にして、提出することもできます。事前に陳述書を提出しておくことにより、調停委員が事前に内容を理解した状態で調停がはじまることになり、話し合いがスムーズに進むというメリットがあります。
自分の主張を明確に伝えることができるので、調停という特殊な場で言いたいことを上手に伝える自信がない人は、陳述書を添えるとよいでしょう。署名にまとめる過程で、考えが整理される効果もあります。
陳述書には結婚までの経緯や離婚に至った経緯、離婚協議の状況、経済状況、健康状態、自分の考え、希望などを記載します。
陳述書の書き方に決まりはありませんが、これまでの事実を時系列にそってわかりやすく簡潔に書いていくのが基本です。自分に不利になることは書かないのはもちろん、相手への悪口や愚痴を書き連ねるのは調停委員にマイナスイメージを与えるので、よい書き方とはいえません。
調停の進行ペース
申立てを行なって、裁判所によっても異なりますが、2週間後くらいに1回目の調停の期日の書かれた呼び出し状が家庭裁判所から届きます。
初回の調停は、通常は申立てから1か月ないし1か月半後です。混み具合で、2~3ヶ月後になることもあります。2回目以降は、月に1回程度のペースで行われます。
調停は平日に行われ、原則として本人の出席が求められます。都合が悪ければ期日変更を申請できますが、きいてもらえるとは限りません。仕事がある場合は、調停のために月1ペースで休むことを、職場に伝えておいた方がよいでしょう。調停は、裁判官と民間人である調停員の2名からなる調停委員会によって進められます。家庭裁判所では、夫婦の一方が調停室で話しているあいだ、もう一方は待合室で待機しているため、お互い顔は合わせません。
調停の成立と不成立
調停の結果、離婚の合意がなされれば裁判所が「調停調書」を作成します。調停最終日に裁判官が読み上げるので、内容を確認しましょう。
このとき、誤りがあれば訂正してもらえますが、これまでの調停と違う内容の変更や追加はできません。いったん「これでOK」で確認したら、以後の訂正はできません。
双方が確認を行なった時点で、離婚が成立します。あとで離婚届を出す義務がありますが、戸籍を処理する手続きに過ぎません。
どちらかが出席を拒否した場合や、「これ以上調停を続けても無意味」と調停委員会が判断した場合は、「調停不成立」とされ、調停が終了します。この判断に対して、不服申立てはできません。
不成立のあとの選択肢
調停不成立になった場合、その後の対応は次の4つから選ぶことになります。
- もう一度夫婦で協議する
- 離婚裁判を起こす
- 離婚をあきらめる
- 再度調停を申立てる
夫婦での協議は難しく、かといって「まだ裁判には持ち込みたくない」と考えている場合は、いったん調停を取り下げ、機会をみてもう一度申立てるのもひとつの方法です。調停委員が変われば、新たな妥協点が見出せるかもしれません。
調停の取り下げはいつでもでき、一方的に行えます。なお、調停を申し立てられた側には、取り下げる権利はありません。
相手へ離婚の意思を伝える
協議離婚の最初にしなければならないのは「離婚したい」という意思と理由を、きちんと相手に伝えることです。冷静に話し合うことが大切ですので、感情をぶつけないようにしましょう。
まずは次の2点を伝えることです。
- どういう理由で離婚を決意したのか。
- その理由のせいで、どんな悪いことが起きたのか。
結婚にともなう義務に違反しているケースは、1のみでも構いませんが、そうでないなら2が重要になります。
1の理由が、「性格の不一致」なら、2はたとえば「あなたに合わせていたら、自分の時間がまったく取れなくなった」など具体的なできごとを伝えましょう。
相手が納得しないなら、そろえておいた証拠を出しましょう。そのうえで話し合いを申し出ます。相手が話し合いを拒否した場合は、調停の申請に進みましょう。
決めるべき事項を書き出す
相手が話し合いを了承したなら、以下の2点を決めていきます。
- 決まっていないと、離婚届が出せないもの
- 離婚届には不要でも、曖昧にしておくと後々のトラブルにつながるもの
実際には、条件をお互いに譲歩しつつ離婚の合意に向かうケースが多いようです。
取り決めた内容が曖昧だと、将来相手が取り決めを守らず強制執行をしたいと考えたとき、逃げる口実を与えてしまいます。たとえば「慰謝料を払う」とは決めたが、「いつまで」とは言っていない、といった具合です。
強制執行とは、支払いを約束した側が取り決めどおりにお金を支払わない場合に、国が強制的に財産を使えないようにして支払いを行わせることです。
具体的によい方法は、取り決めの段階から5W1Hを意識するとよいでしょう。何について、誰が、誰に、いつまでに、どこで、どういう方法で行うのかを決めておきます。一度ですべてを話し合おうとせず、時間をかけて進めていくことが肝心です。
離婚協議書
話し合いを終えたら、取り決めた内容は必ず離婚協議書として残しましょう。口約束だけで済ませた場合、あとになってから約束が守られないなどのトラブルのおそれがあります。
離婚協議書に決められた様式はありません。縦書き、横書きの決まりもなく、用紙のサイズも自由であり、箇条書きでも構いません。
記載する内容も自由ですが、親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについての決定事項を具体的に書きます。
たとえば養育費については、支払う人の名前、受け取る人の名前、毎月の支払い金額、支払い期間、支払い方法などを記入します。
離婚協議書は、同じものを2通作成し(コピーも可)、二人の自筆署名と押印をして、それぞれが1通ずつ保管しておきます。
公正証書
二人のあいだで決定事項を記載しただけでは、取り決めを書き留めただけの私的書類にすぎず、法的な効力は弱いといえます。仮に取り決めを破られたとしたら、強制執行ができません。そこで、離婚協議書をもとにして、新たに公正証書を作り、そのなかに強制執行認諾の約款を付け加えます。
強制執行認諾とは、「ここに書かれた取り決めを破ったら強制執行を受けても文句は言いません」と約束させた一文です。この文言を、公正証書に書き入れておけば強制執行が可能になります。
公正証書は、二人で公証役場に行って、公証人に作成してもらいます。協議の内容を口頭で伝えることもできますが、時間もかかりますし伝えもれの危険性もあります。離婚協議書を持参し、「強制執行認諾約款付きで」と依頼するとよいでしょう。
公証人は、取り決めの内容をもとに公正証書の原本を作成し、夫婦それぞれが内容を確認したうえで署名押印します。公正証書は、原本と、原本の写しである正本、謄本が作成され、原本は公証役場が保管します。交付された公正証書は、お金を受け取る側が正本、支払う側が謄本を1通ずつ保管します。
公正証書に期待しすぎない
しかし残念ながら、公正証書の強制力は完ぺきとはいえません。強制執行の対象となるのは、養育費や慰謝料などの金銭についてだけです。また、強制執行を行うには公正証書のほかにも公的な書類が必要となり、手間も費用もかかります。
そういう点を考えると、「離婚しても互いの信頼関係は失わず、約束が破られないようにしておく」というのがもっとも安心できる協議の姿かもしれません。
相手の経歴詐称
近年は、マッチングアプリや婚活サイトで出会った相手と結婚する人も増えており、結婚後に相手の経歴詐称が発覚するトラブルも起きています。
たとえば、「有名大学卒と言っていたのに実は入学していなかった」とか「一部上場企業勤務と言っていたのに子会社勤務だった」などがあります。
このような場合に、離婚が認められるか否かですが、裁判では経歴詐称をしただけで、離婚が認められるわけではありません。そのため、自分にとって経歴が重要であることを結婚前に伝えていた事実や経歴詐称によってどれだけ苦痛を受けたかを具体的な証拠とともに挙げることが重要です。
なお、経歴詐称が発覚してから長い時間が経過すると、離婚理由として主張するのが難しくなるので、早めに別居などの決断をする必要があります。
経歴詐称を理由に離婚するための証拠
結婚前のやり取り
結婚前に経歴が重要であることを相手に伝えていた証拠を示します。
証拠となるものとして、次のようなものがあります。
- マッチングアプリ・結婚相談所への登録履歴
- 相手とのメールの文面
- SNSのコメント など
経歴詐称による苦痛
実生活や将来設計への影響や精神的苦痛を受けたことを示します。証拠となるものとして、次のようなものがあります。
- 日記やメモ
- 相手が職場で解雇された記録
- 心療内科などの通院記録 など
信頼できない言動
経歴詐称以外にも信頼できない言動があった証拠を挙げます。証拠となるものとして次のようなものがあります。
- 日記やメモ
- 配偶者とのメールの文面
- SNSのコメント など
子育てをめぐる問題
子どもに関わる離婚原因には、子どもへの教育方針の相違のほか、夫婦ともに仕事を抱えているのに、自分だけ一方的に家事、育児の負担を押し付けられている「ワンオペ育児」などがあります。
裁判で離婚と親権を認めてもらうには、子育ての問題が生じていた証拠を示すのが一般的です。ただし、どれだけ子どもに無関心であったり、教育方針が合わないと感じられたりする配偶者でも、面会交流は確保する必要があります。面会交流に理解ある姿勢を示すことが肝心です。
扶養者(収入の高い方)から子どもを看護する相手に対して離婚を請求する場合は、子育ての問題が生じていた証拠に加え、離婚後も子どもに対する責任を果たす姿勢を示すことが重要です。
子育ての問題で離婚するときの対応
- 扶養者(収入の高い方)から主に子どもを監護する相手に対して離婚を請求する場合
子育ての問題が生じていた証拠に加え、養育費を支払う意思を示すなど、責任を果たす姿勢を示すことが重要です。子どもの特性(障がい、精神的問題など)によっては、特に子どもの住居や教育について、誠意ある対応が求められます。 - 被扶養者(収入の低い方)で、子どもを監護する側から離婚を請求する場合
母子手帳、育児日記、配偶者とのメール、SNSのやり取りなど、問題が生じていた証拠を示せば、離婚が認められる可能性は高くなります。面会交流に理解ある姿勢を示すことで、離婚と親権の主張を認められやすくすることも重要です。
配偶者の認知症
熟年夫婦は、配偶者のいずれかが認知症を患う可能性が高くなります。認知症の症状が長期間にわたり、今後も治る見込みがない場合は、離婚の理由として認められることがあります。
ただし、配偶者の離婚後の生活にも一定の配慮を求められることになります。そのため、認知症を患っている証拠や、それによって家庭生活に支障が生じている証拠、これまで治療や介護に協力してきた証拠を集めるだけでなく、配偶者の離婚後の生活についての具体的な対策を考えておくことが重要です。
配偶者に判断能力がない場合は協議離婚はできないので、成年後見人を選任したうえで裁判による離婚を求めることになります。
相手が認知症の場合の離婚の方法
1. 離婚に向けた証拠を集める
病気の証拠として、診断書・処方薬の説明書・医療費領収書などがあります。
家庭生活に支障が生じている証拠として、日記・会話の録音、警察から取り寄せた記録(警察のお世話になったことがあれば)などがあります。
これまで病気の治療や介護に協力してきた証拠として、日記、入院・入所時の身元保証書があります。
病気以前に離婚原因があった場合の証拠として、不倫の写真、貸金の記録、DVの記録などがあります。
2. 配偶者の離婚後の生活に関する具体策を考える
財産分与・離婚後数年間の生活費の提供・配偶者の親族への引き受け要請・入所施設の確保などが必要です。
相手方のパーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは精神疾患のひとつであり、考え方や感情、対人関係といった機能が偏ることで問題が起きます。「性格が悪い」といったものとは異なり、治療が必要な病気です。
男性・女性を問わず、最近、離婚の原因として増えているのがパーソナリティ障害による家庭の不和です。
配偶者がパーソナリティ障害の場合は、相手の言動とそれにより生活にどのような支障が出たのかを具体的なエピソードを挙げて丁寧に主張することが必要です。また、その事実を裏付ける証拠を集めておくことが望ましいといえます。
単なる性格の不一致よりも深刻な生活上の支障をともなうことが多いため、裁判でも比較的離婚が認められやすくなります。
パーソナリティ障害の特徴
- 奇妙で風変わりな特徴を示す場合があります。
・不信感や猜疑心が強い
・会話が風変わりで感情の幅が狭い
・非社交的で他者への関心が乏しい - 感情的で移り気な特徴を示す場合があります。
・感情や対人関係が不安定
・反社会的で衝動的に行動する
・ごうまん、尊大な態度をみせる
・派手な外見や演技的行動で他人の注目を集める
・自己評価に強くこだわる - 不安定で内向的な特徴として次のようなものがあります。
・他者に過度に依存する
・融通性がなくこだわりが強い
・孤独に耐えられない
・不安や緊張が生じやすい
配偶者のパーソナリティ障害で離婚する証拠例
- わめき声や罵声の音声データ
- 度重なる虚言を記した日記
- 自傷行為を行ったときの診断書
自分の浮気での申し出
浮気をしたなど、自分自身に非がありながら(有責配偶者でありながら)離婚を申し出た場合、離婚を認めてもらうためのハードルは高くなります。
有責配偶者が離婚を請求したケースでは、たとえ別居期間が長期間に及んだとしても、原則として離婚は認められません。離婚の原因を作った側が勝手に離婚できるとなるとあまりに身勝手な行為を許すことになるからです。
離婚を成立させるには、自分に非があることを自覚し、離婚成立までの婚姻費用を誠実に支払う、離婚後の養育費を充実させることを約束するなど、誠実に対応します。そうすることで、裁判所も有責者側の立場を考慮し、和解を進めてくれる例もあります。
自分が悪いときは誠実な対応が必要
金銭面での誠実な対応
配偶者に対して、どの程度金銭的な援助があるかが重要です。必要な援助を惜しまず、誠実な対応をしていきます。
具体例としては、次のようなことが考えられます。
- 別居後の婚姻費用を支払う
- 慰謝料を支払うことを約束する
- 財産分与を支払うことを約束する
子どもへの対応
子どもがいる場合は、離婚後の養育費を充実させるなど、経済的・精神的な協力を約束します。子どもへの誠実な対応が第一です。
具体例としては、次のようなことが考えられます。
- 養育費の確実な支払いを約束する
- 面会交流については、相手と子どもの意見を尊重する
配偶者の宗教活動
日本国憲法は、信教の自由を保障しています。配偶者に、自分の信仰している宗教を強制することはできませんし、お互いの信仰する宗教が違うからという理由では離婚できません。
ただし、過度の宗教活動が離婚理由として認められる場合もあるため、その証拠を集めておくことが重要です。
たとえば、平日、休日関係なく、布教活動に明け暮れ、家事や育児を放棄しているときは、日記などに記録しておきます。生活費から家計の負担となるような寄付をしたときは、預金通帳などをコピーしておきます。これらの証拠により、夫婦の協力義務違反や相互扶助に違反した状態であると主張していきます。
宗教が離婚理由になる範囲
離婚が認められる場合としては、次のようなことが考えられます
- 家事、育児を放棄して布教活動を行なっている
- 集団生活をおくっており自宅に帰ってこない
- 仕事をせず、家計にお金を入れない
- 家計を圧迫するくらいの多額の寄付をする
- 子どもを学校へ行かせず、宗教活動に参加させる
- 宗教活動のために多額の借金をしている
- 信仰していない配偶者を精神的に虐待する
離婚が認められない場合としては、次のようなことが考えられます
- 自分の信じる宗教と異なる宗教に入信した
- 家庭内で宗教に関する会話をしようとする
- 毎日行っている祈祷がうるさい
- 自分の友人や知人を入信させようと勧誘する
- 宗教に関する書籍を読ませようとする
- 同じ信仰をもつ信者を自宅に連れてくる
- 子どもを宗教の集まりに連れていく
身体的・精神的暴力
DVとは、配偶者から受ける暴力のことであり、身体的な虐待(殴ったり蹴ったりするなどの暴行)だけでなく、精神的な虐待も含みます。特に精神的な暴力や虐待は、モラルハラスメント(モラハラ)と呼ばれ、離婚の原因となるケースが増えています。
こうした暴力については、調停や裁判に備えて、日頃から具体的な日時や場所、様子などを詳細に記録しておきましょう。日記やメモをつける、録音を残しておくなどの方法があります。
身体的、精神的な暴力は、ケガなどの影響を受けるだけでなく、精神障害の原因ともなります。また、子どもが感情表現や問題解決の手段として暴力を用いるおそれもあります。早めに別居を検討するなど、対処が必要です。
身体的・精神的暴力の例
身体的暴力の例
- 殴る、蹴る
- 刃物などを体に突きつける
- 髪を引っ張ってひきづり回す
- 呼吸が止まりそうなくらい首を絞める
- 腕をねじって痛めつける
- 体を傷つける可能性があるモノで殴る
精神的暴力の例
- 話しかけても無視する
- やることなすことを否定する
- 行動を管理しようとする
- 「誰のおかげで生活できるんだ」などと高圧的に言う
- 家族や友人についてバカにする発言をくり返す
- 「外で働くな」と言い、仕事をやめさせる
身体的・精神的暴力への対処法
- 調停や裁判に備え、医師の診断書や暴力の記録を残しておく
- 警察や女性センターに保護を求める
- 地方裁判所で保護命令を申し立てる
相手親族との不仲
姑が家事や育児に文句をつけるなど、距離が近いとトラブルが起こりがちなようです。このようなときは、まずは夫婦が話し合って問題となる人間関係に距離をおくなどの対処を検討すべきです。
それでも関係が改善しないときは、離婚に向けて家を出て別居するという選択肢もあります。別居にあたっての準備では、相手親族との不仲の証拠などはあらかじめ持ち出しておくようにします。たとえば、嫌がらせの証拠となる写真や暴言を記録した音声などです。
また、離婚を成立させるうえでポイントとなるのが配偶者の態度です。配偶者がトラブルに無関心で、身内の肩を持つばかりで訴えを聞き入れない場合、裁判で離婚が認められる可能性があります。
相手の親族とうまくいかないときの手順
- 配偶者と話し合う
まずは配偶者と話し合い、問題解決の方法を探ります。話し合いの結果、問題が解決することもあります。 - 相手親族と距離をおく
距離をおくことで、これ以上のトラブルが起きるのを回避します。離婚に向けて配偶者と別居することもあります。 - 離婚に向けて証拠を集める
相手親族とのトラブルの証拠を集めておきます。日記やメモ、音声データや動画などが証拠となります。
相手方との一方的な離婚
自分の意思とは無関係に、相手が勝手に離婚届を提出しまうことがあります。離婚の条件がまとまらないうちに、話し合いを打ち切る意味で離婚届を出してしまうケースや浮気をした側が身勝手に離婚を成立させようとするケースが実際に多いようです。
こうした事態に備えて、防止策を講じておくことが大切です。離婚届を提出される前に「離婚届不受理申出書」を提出しておく方法があります。
離婚届が提出され、受理された場合は、家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停を起こします。調停で合意できたら離婚は無効となります。合意できないときには、裁判へと移ります。無効の判決が得られれば離婚は無効となります。
相手の一方的な離婚届の提出への準備と対応
離婚届を提出される前
市区町村役場に「離婚届不受理申出書」を提出し、離婚届の受理を阻止します。
申出先は、本籍地の市区町村役場の戸籍課(本籍地の市区町村役場以外から送付してもらうことも可能)です。申出人は本人です。必要なものは、離婚届不受理申出書、本人確認ができるもの(免許証、パスポートなど)、印鑑です。
離婚届を提出された後
家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停を起こします。
申出先は、相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。申出人は、協議離婚した夫または妻、協議離婚した夫婦の親族などです。必要なものは、協議離婚無効確認の申立書、戸籍謄本(申立人と相手方)、離婚届の記載事項証明書、利害関係人からの申立の場合は利害関係を証明する資料です。
相手の浮気
浮気の証拠集め
配偶者に浮気の疑いがあり、それを理由に離婚を考える場合、怒りにまかせて相手を問い詰めると逆効果です。相手は、浮気を否定して慎重に行動し、浮気の証拠も隠されてしまう可能性があるからです。
調停や裁判などで、浮気を理由に有利な離婚を成立させるには、浮気の証拠を集めておくことが不可欠です。
証拠集めの最大のポイントは、「性的関係を証明できるか」です。
典型的な証拠は、ラブホテルに二人で出入りしている様子を写真や動画で撮影したものです。写真や動画は、顔がはっきり確認できるように撮影し、日付を入れておくことも重要です。
また、メールの内容などの状況証拠などもすべて集めておきましょう。
浮気が疑われるときに集めておきたい証拠
考えられるものとして、次のようなものがあります。
- 領収書
日付、利用した人数、支払いの内容などを記録します。 - カードの利用明細書
日付、支払いの内容などを記録します。 - スマートフォン
通話履歴やアドレス帳を確認し、通話先の電話番号や名前などを控えておきましょう。保存してある写真は、転送するなどしておきます。
浮気を連想させるメールの文面があれば、転送しておきます。 - 交通機関のICカード
利用履歴を券売機で印字し、記録に残しておきます。買い物履歴のチェックも可能です。 - Facebook、X(旧Twitter)、LINEなどのSNS
浮気の状況証拠となる文面や写真データを保存しておきます。 - 写真・動画
二人で会っている様子を撮影します。ラブホテルに出入りしている様子などは、性的関係の裏付けになりやすいものです。
性格の不一致
夫婦関係の破綻を証明していく
そもそも夫婦の価値観は違っていて当然ですし、性格の不一致といっても夫婦のどちらかが絶対的に悪いというわけではありません。
そのため、自分が離婚したいと思っても、相手が離婚を望まず関係修復のために誠実な努力をはらっている場合は、性格の不一致だけを理由に離婚を認めてもらうのは難しいといえます。
性格の不一致が離婚理由として認められるのは、修復しがたいほどに夫婦関係が破綻しているときです。
夫婦関係の破綻を証明するには、長期間の別居をする、ケンカをしたときの記録をつけておくなどの方法があります。
また「過去に浮気をされた」など、ほかの要因と組み合わせて離婚を主張すると認められる可能性があります。
性格の不一致で離婚するための方法
1. 夫婦関係の破綻を証明します
証拠となるものとしては、次のようなものがあります。
- ケンカのときの録音
- ケンカのメモや日記
- メールのやり取り
- 第三者の証言
2. 性格の不一致を、ほかの要因と組み合わせる
性格の不一致と組み合わせできるような要因としては、次のような要因が考えられます。
- 過去に浮気があった
- 家に帰ってこない
- 家計にお金を入れない
- 過去に暴力をふるわれた
熟年離婚
熟年離婚の現実
熟年離婚で多いのが、価値観の違いや性格の不一致が積み重なり、子どもの自立などをきっかけに離婚を決断するパターンです。
熟年離婚の準備
熟年離婚を考えるときに重要なのは、離婚後の生活資金を確保できるかどうかです。
専業主婦の場合、離婚後にも定期収入を得られるのがいちばんですが、高齢になるほど就業の機会は減少します。
配偶者の退職が迫っている、あるいは退職後間もないときには退職金を財産分与として請求できるのかも確認したいところです。
また、将来、夫が受け取る年金額の半分をもらえると誤解されがちですが、実際に分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金です。国民年金は分割できないので、注意が必要です。
離婚後の収入・財産の確保が重要
1. 離婚後の定期収入を確保する
婚姻中も仕事をしていた人は、引き続き就業できる環境を整えます。
無職の人は、新たに仕事を探す必要があります。ハローワークでは、中高年向けの求人紹介やセミナーを行なっています。
サラリーマンや公務員の妻だった場合は、どの程度年金を分割して受け取ることができるか年金事務所で試算してもらいましょう。
2. 退職金を財産分与に含める
配偶者の退職金の支払い前後は、退職金も財産分与の対象となります。
退職金の支払いがまだ行われていない場合は、確実に支払われるかを確認しておきます。すでに支払いがあった場合は、残金がどの程度あるかを確認しておきます。専業主婦の場合、退職金は離婚後の生活資金となります。
相手方の借金
借金の額の把握
婚姻期間中に、相手が消費者金融で多額の借金をしてギャンブルに費やしていた、浮気相手に注ぎ込んでいたなどの場合は、夫婦の生活には無関係な借金ですので、財産分与の計算をするときに差し引かれずに済むのが一般的です。
ただし、相手の借金が多い場合、財産分与や慰謝料などを十分に取得できない可能性が高くなり、離婚後の生活設計にも支障が出ます。
相手の借金が疑われるときには、相手が借金を隠していないか、どれだけ借金があるのかを確認しておく必要があります。
同時に、これ以上借金を増やさないための手段も検討します。
消費者金融の利用明細書やカード会社からの請求書などは相手が多額の借金をした証拠としても活用できます。
相手に借金がある場合の対処方法
借金をこれ以上、増やさせない
日本貸金業協会に申告することにより、一定期間借金ができないようにします。
本人の届出が原則ですが、親族なども条件を満たせば申告することができます。登録手数料などの費用はかかりません。
方法としては、電話をしたうえで、協会で直接申告を行う、あるいは郵送で申告を行うことです。
問い合わせ先は、日本貸金業協会です。
日本貸金業協会:https://www.j-fsa.or.jp/
貸金業相談・紛争解決センター相談窓口:0570-051-051
借金の事実を証明する
消費者金融の利用明細書やカード会社からの請求書などがあれば、コピーしておきましょう。
借金の額を把握できるだけでなく、調停や裁判で相手に多額の借金があったことを証明する材料にもなります。
方法としては、次のようなものが考えられます。
- 購入した贅沢品の写真を撮る
- 生活費が入っていない預金通帳をコピーする
- 消費者金融からの利用明細書をコピーする
配偶者への伝え方
離婚するという気持ちが固まり、離婚後の不安要素も解消して、準備も整ったのであれば、相手へ伝えましょう。自分の気持ちを伝えないことには、何も進んでいきません。
伝え方は、対面して口頭で伝える方法が無難です。メールや手紙などで伝える方法もありますが、記録として後々残ることを忘れないでください。裁判になったときに、相手からこちらに不利な証拠として出される可能性もあります。
どのような手段で伝えるにも、最初は冷静かつシンプルに「離婚したい」ということだけを伝えましょう。まずは、離婚したい気持ちを理解してもらうことが大切です。条件などは、おいおい詰めていきましょう。伝える際は、くれぐれも感情的になってはいけません。一方的にならないよう注意しつつ、配偶者の気持ちも聞いてあげてください。
離婚したい理由がDVの場合は、弁護士など第三者に間に入ってもらいましょう。また、条件など話し合う際には、優先順位を決め、何回かに分けて話し合うようにしましょう。
家族や子どもへの伝え方
親や兄弟姉妹へ伝える際には、離婚後の生活の見通しもあわせて話すなど、余計な心配をかけないような配慮が必要です。力になってほしいことがあれば、あわせてお願いするとよいでしょう。特に子どもを連れての離婚の場合、周囲の協力が得られれば大変心強いものです。
子どもに伝えるときも子どもが理解できる年頃であれば、ごまかしたりせずに、真実を話す方がよいでしょう。離婚することを決断してよかったと前向きな気持ちを伝えれば、子どもも少しは安心するでしょう。離婚しても配偶者は子どもにとっては唯一の父親、母親です。子どもの心を傷つけないためにも、配偶者を悪くいうのはやめましょう。要するに、子どもに伝えるときは、不安を取り除く配慮をすることが大切です。
離婚を伝えるときの場所
離婚を切り出す場所は、相手の性格によって判断します。落ち着いて話をしたい場合は自宅で、相手が逆上する可能性があるときはカフェなどがよいでしょう。
離婚の意思の各種伝え方
第一に、口頭で伝える方法が一番よいでしょう。
丁寧に説明し、相手に話を聞いてもらう時間を作ることで、誤解を防ぐことができます。
第二に、電話の方法があります。
相手の表情や反応に左右されず、自分の気持ちを落ち着いて伝えることができます。
第三に、メールの方法があります。
メールは、相手の感情的な応対を防ぐことができます。改めて話し合いを作るきっかけとして送るときもあります。
第四に、手紙の方法があります。
手紙は、自分の主張を整理して書くことができます。相手に距離感を感じさせることもできます。
第五に、DVが原因のときの伝え方は、上記の方法と若干異なります。
DVが原因のときは、必ず第三者を介して伝えましょう。話し合いの場に、第三者に間に入ってもらい、話し合うことも必要かと思います。当事者間同士で直接伝えると逆上した相手から暴力を受ける可能性があります。
離婚を具体的に進める第一歩
離婚の意思をまずは伝えなければ、協議も何も、離婚する話し合いなどすべてがスタートしません。
時に「離婚話は、切り出した方が不利」と聞くこともありますが、特に根拠はなく、不確かな情報です。離婚話を切り出した後には、さまざまな条件について話し合う必要があります。有利不利があるとすれば、その交渉次第です。切り出すタイミングよりも、話し合いの内容が重要ということです。
相手に離婚を伝えることは勇気の要ることだと思いますが、まずここを通らなければ何もはじまりません。
説得力のある主張の準備
お互いの話し合いで離婚に合意できない場合、調停や裁判に移行することになります。調停や裁判では、離婚問題の解決を第三者にゆだねることになります。これは、第三者に向けて、説得力のある主張を準備する必要があるということです。
ですから、調停や裁判に備えるにあたって、まず自分の考えを明確にしておくことが欠かせません。「なぜ離婚したいのか」「調停や裁判で何を要求するか」「どういう条件なら合意できるか」などを改めて考え、準備しておきましょう。
また、調停や裁判について、情報を集めて勉強する、あるいは質問されそうなことについてあらかじめ回答を考えておくのも有効です。身近に経験者がいれば、相談するのもよいでしょう。また、専門の司法書士等に相談するのもひとつの対策です。
裁判へと進む場合は、どうしても法律の専門家である弁護士に依頼する必要があるかと思います。なぜなら、相手方も弁護士を依頼することが考えられるからです。
なお、地元の各役所で市民相談・司法書士相談などの無料相談を実施していますから、相談をしてアドバイスをもらうのもひとつの方法です。
証拠の収集
離婚裁判を起こす場合、離婚の理由とその理由を裏付ける証拠は不可欠です。その前段階の離婚協議や調停の際にも証拠があれば話を有利に進められるでしょう。離婚について考えるようになったら、何ごとも証拠を集めておくことに越したことはありません。
相手の浮気が離婚理由となる場合、浮気の事実を決定付ける写真や動画、メールのやりとり、携帯電話の履歴などが証拠となります。
DVであれば、病院の診断書やケガの写真が証拠となるでしょう。
モラルハラスメントであれば、日々の暴言や態度を記した日記や音声記録、病院の診断書が証拠として役立ちます。
ギャンブルであれば、借金の明細書や大金を引き出していることを示す通帳のコピーなど、浪費を示すものが証拠となりえます。
それらの証拠をできるだけ自分自身や周囲の協力のもと集めつつ、難しいものは調査会社に依頼するという方法があります。調査会社は、離婚の局面では浮気調査や素行調査、相手が行方不明になった場合の捜索などで多く利用されます。浮気調査を専門とする調査会社もあります。
専門家の活用
浮気が離婚原因の場合、決定的な証拠を掴むために、調査会社に依頼する人が多いようです。調査会社は、依頼内容や調査に要する時間によって、調査にかかる費用が異なりますが、いずれにしろ高額です。
自分で集めた間接的な証拠だけでも配偶者の浮気を立証することが可能な場合があるので、経済面もよく考えて調査会社に依頼すべきかどうかを決めましょう。
また、依頼する場合も調査がなるべく短期間で済むよう、事前に配偶者の行動パターンを把握しておくことが大切です。
調停や裁判で証拠となるもの
離婚を有利に進めたいときは、必ず証拠を集めておくようにしましょう。「性格の不一致」などで離婚したい場合にも、証拠集めをするに越したことはありません。
浮気、DV、モラルハラスメント、ギャンブルの各種原因について、証拠となるものの例を検討しましょう。
- 浮気の証拠となるものの例
- 二人でホテルに出入りするときの写真や動画
- メールのやり取り
- 携帯電話の履歴
- ホテルやレストラン、プレゼントのレシート
- DVの証拠となるものの例
- 病院の診断書
- ケガの写真
- 言動を録音した音声のデータ
- 警察への相談実績
- モラルハラスメントの証拠となるものの例
- 暴言を受けた日々について書いた日記
- 暴言を録音した音声のデータ
- 病院の診断書
- 経済的な束縛を示す家計簿
- ギャンブルの証拠となるものの例
- 借金の利用明細
- 通帳のコピー
- カードの利用明細
- 領収書
越谷離婚相談・不倫慰謝料請求・財産分与は美馬司法書士・行政書士事務所
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離婚にかかる費用は弁護士へ依頼するのと比較しますと大きな差があります。当事務所では定額制のため、成功報酬はいただいておりません。 離婚した後の生活こそ、お金がかかるものです。離婚にかかる費用を極力抑えて、新生活を迎えてください。