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離婚入門

2024年7月23日

別居

別居の決断

離婚を考えているとき、冷静に話し合うためにも別居という手段は有効です。

別居をすることで、離婚後の生活をイメージすることができ、離婚という選択肢が正しいかを判断する機会もえられます。また、短期間の別居は、夫婦間の修復に役立つこともあります。お互いに冷静に考えることができるからです。

夫婦は法律で同居が義務付けられています。そのため、夫婦が合意したうえで、別居をするのが原則です。別居に合意できている場合は、婚姻費用の支払いについて夫婦共同で調停を行い、調停調書を作成しておくと安心です。

どうしても合意できない場合でも、別居することもできます。たとえば、浮気をしている夫が妻子を捨てて別居し、生活費も払わず連絡先も隠しているといった極端な状況ではない限り、裁判所で「悪意の遺棄」などと評価されることはありません。配偶者によるモラハラやDVを受けており、合意なく別居するしかないこともあります。

離婚後の話し合いのために、別居後の住所は知らせておくようにしましょう。ただし、DVなどの理由があれば知らせる必要はありません。

別居の際の持ちもの

別居中に勝手に財産を処分されるおそれもありますので、残高がわかる預金通帳のコピーなど、財産を証明できる資料を持ち出しておきます。

将来の離婚の際に親権がほしいなら、子どもをおいて別居しないようにすることが大切です。子どもと同伴で別居することが、将来の親権取得に有利に働くことが多いようです。

結婚前から持っていたもの、自分のお金で購入したもの、個人的にもらったものなどは持ち出すことができます。自分名義の預金通帳は当然ながら持ち出すようにしましょう。

結婚後に購入して共同で使っていたものは夫婦の共有財産になります。持ち出しても罪にはなりませんが、相手の心証を悪くして離婚に向けての話し合いを難しくする可能性があります。

同様に相手の持ちものや家具・家電製品なども合意できた範囲で、相手が困らない範囲で持ち出すのが賢明です。

別居のメリット

やむをえず別居するときも次のようなメリットがあります。

  1. 冷静に離婚に向けた話し合いができます。同居していて常時顔を見合わせている場合よりも、お互い単身となることで冷静になることは明白です。
  2. 別居することで、自分の気持ちを見つめ直すことができます。また、関係修復できる可能性もあります。十分に考えずに別居したことを考えなおし、自分が悪かったと反省すれば元の関係に戻る可能性も出てくるのです。
  3. 離婚したあとの生活をイメージできます。将来の離婚を考え別居したのであれば、それに向けた生活を想像し準備ができます。
  4. 子どもに夫婦の対立を見られる心配がなくなります。夫婦間のケンカは子どもにとって思いがけない悪影響を及ぼします。このような対立関係を子どもに見せることがなくなります。
  5. 相手方からDV・モラハラ被害を受けていた場合は、そのようなことから脱することができます。

別居のデメリット

別居は当然ながら、種々のデメリットを抱えます。

  1. 生活費など金銭的な負担が増えます。別居前から適当な報酬を得ていた場合はともかく、専業主婦であった場合はこれから職をえるわけですから、金銭的にも裕福でなく経済的な負担はやむをえません。
  2. 無職の場合は、すぐに仕事が見つかるとは限りません。仕事を見つけても、最初から高給は期待できません。
  3. 周囲から厳しい目で見られることが、ままあります。昔ほど厳しい現実ではありませんが、詮索する近所の人は必ずいるものです。そういう人から好奇心で見られることがあるでしょう。
  4. 生活のリズムが崩れることもあります。同居していた場合と違い、従来と異なった生活のリズムはやむをえません。
  5. 子どもがいる場合、どちらが子どもと一緒に住むかで争いが起こることがあります。子どもの意思を無視して争い合い、子どもの心に傷をつけることもあります。

別居前の準備

別居後のお金の準備

別居中の経済的な計画を立てて、別居中の婚姻費用についても話し合いをします。

円満に別居できない場合は話し合いも難しいでしょうが、なんとか婚姻費用については請求できるように対策を考えましょう。

子どもの住む場所

別居に際して子どもがいる場合には、夫婦のどちらが子どもと住むかを決めなければなりません。親権者の決定にもかかわるので、慎重に考えたいものです。子どもの意思も尊重して、決定したいものです。

必要なものの持ち出し

  1. 自分名義の通帳・実印・キャッシュカード
  2. 印鑑
  3. パスポート、運転免許証
    これらは身分証明としても必要です
  4. 健康保険証・年金証書
  5. 相手が不倫をした場合の証拠となるもの
  6. 子どもの持ちもの
  7. 現金
  8. 写真など思い出の品

別居先の住所の秘密

DVの被害者が別居する場合、配偶者に別居先の住所を知られたくはありません。そのために住民票の閲覧を制限することができます。この制度を利用する条件には、① DV被害者であり、生命または身体に被害を受ける可能性があること、② 警察に相談した、被害届を出した、閲覧制限の必要性があると判断される必要があります。

子どもとの関係

親権をとるためには、前述のように子どもをおいて別居しないことが重要です。別居に合意できないときでも、家を出ることもできますが、子どもは連れていきたいものです。

経済的な問題などを理由に「家庭内別居」をする夫婦もいますが、争ったり口もきかなかったりする姿は、子どものストレスの原因となるので注意が必要です。

本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康

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離婚にかかる費用は弁護士へ依頼するのと比較しますと大きな差があります。当事務所では定額制のため、成功報酬はいただいておりません。 離婚した後の生活こそ、お金がかかるものです。離婚にかかる費用を極力抑えて、新生活を迎えてください。

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