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婚姻の法文解説

2018年1月19日

再婚禁止期間

民法第733条
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から、6ヶ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.女が、前婚の解消又は取消しの前から、懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない

本条は、女性に再婚の時期を制限することから、待婚期間とも称します。
その根拠は、父性推定の混乱、すなわち生まれた子が前夫の子か、後夫の子か、わからない事態となることを、避けることにあります。

再婚が禁止されるのは、前婚の解消または取消しの日から、6ヶ月を経過する日までです。
事実上の同居の解消の日ではなく、法的根拠に基づく日を、形式的に起算としています。

これは、父性推定規定(第772条)が、婚姻の成立、解消につき法律上の期間を、基準にしていることによります。

このことからも、本条が予定しているのは、法律上の婚姻のみでして、事実上の別離、同居は含みません。

本条の意義が、父性推定の混乱回避にあることから、混乱のおそれのない場合は、形式的には再婚禁止期間中といえども、再婚が可能です。

したがって、本条2項の出産には、早産、流産もふくまれます。
また、母体保護法に基づく不妊手術を受けた場合も、含むと解されています。

なお、2項は、再婚禁止期間を不要とする典型例の例示ですから、これに限りません。
戸籍の先例で、再婚禁止期間の適用がないとされたのに、次のようなのがあります。

  1. 離婚した前夫と再婚する場合は、再婚に該当しません
  2. 夫の3年以上の生死不明や、失踪宣告がある場合は、懐胎の可能性があり得ません
  3. 離婚判決の中で、夫の3年以上の音信不通の事実が認定されている場合
  4. 明らかに、懐胎可能年齢を超えている場合

再婚禁止期間以内に提出した婚姻届が、誤って受理された場合は、前婚および再婚の各当事者、その親族、前婚の配偶者または検察官から、取り消すことができます。

なお、子の父の推定が重複した場合は、父を定める訴えにより、父が定められます。
また、嫡出推定規定の趣旨に照らして、取消しの必要性がなくなった場合には、取消権は消滅します。

本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康

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