年金・死亡退職金関係の立法においても、重婚的内縁の妻に受給権が認められる場合が、多々あります。
- 地方公務員の死亡退職金(最高裁判所判決昭和58年)
- 厚生年金保険の遺族年金(東京地方裁判所判決昭和63年)
- 私学教職員共済法の遺族共済年金(最高裁判所判決平成17年)
- 小規模企業共済法の共済金(東京地方裁判所判決平成3年)
その際、法律婚の実体喪失の判断は、「婚姻関係の実体がなくなったことの責任を問うものではないから」、婚姻関係の実体喪失に対する当事者の有責性の有無・程度は、問題にならないとする判決があります(東京地方裁判所判決昭和63年、前掲2)
法律婚破綻認定の重要な事実としては、
①法律婚当事者間の離婚意思、②別居、③法律婚当事者間における経済的給付や音信・交流、子との関係が、取り上げらられています。
例えば、法律上の夫が、妻と、事実上婚姻関係を解消することに合意したうえで別居し、恩給の権利の付与や、子の養育費の仕送りなど事実上の離婚給付をし、以後、12年間関係を絶っていた事案で、法律婚の破綻が認定されています(最高裁判所判決昭和58年)。
これらの要素は、相互に関連するものです。
すなわち、①が明確であれば、②は長期であることは必要ありません。
また、③があっても、それは事実上の離婚給付として考えられて、破綻の認定ができます。
さらに、①が一方だけにあったり、双方ともに不明確であっても、②が長期化し、③が欠けていれば、破綻の認定ができるといえます。
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