離婚・婚姻の専門解説審判・調停離婚
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2021年3月21日
審判・調停離婚
調停離婚の手続き
有責配偶者の離婚請求と調停離婚との関係 夫婦が相当長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、離婚により相手方が極めて過酷な状態におかれるなど、著しく社会正義に反するような特段の事情がない限り、有責配偶者からの請求でもその請求は…
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2020年11月18日
審判・調停離婚
調停離婚
調停離婚の意義および性質 離婚に関する紛争は、人事に関する訴訟事件として、調停前置主義が採られています。原則として、まず、家庭裁判所に調停の申し立てをしなければなりません。調停において、夫婦間に離婚の合意が成立し、調停委員会または家…
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2020年11月1日
審判・調停離婚
訴訟上の和解離婚
訴訟上の和解離婚の意義および性質 民事訴訟法は、訴訟上の和解について、これを調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有すると規定しています(第267条)。 しかし、人事訴訟法が成立するまでは人事訴訟手続法により、…
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2020年10月28日
審判・調停離婚
審判離婚基準・効力
審判の基準と内容 24条審判は、調停委員会の調停が成立しない場合に行われます。単独調停の場合には、24条審判をすることはできません。家庭裁判所は、その場合において、相当と認めるとき当該調停委員会を構成する家事調停委員の意見を聴いて行…
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2020年10月21日
審判・調停離婚
審判離婚内容
審判離婚の許否 離婚について少なくとも一方が反対している場合には、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度を超えているとして、審判離婚はできないとする説や妥当ではないとする説がありました。 しかし、近時は、当事者双方のいずれもが…
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2020年10月14日
審判・調停離婚
審判離婚総説
意義および性質 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において、相当と認めるとき、事件の解決のために、必要な審判をすることができます。これは、調停に代わる審判または24条審判と呼ばれ、この審判にもとづいて、離婚の効果が生ずる…
夫婦は、その協議で離婚をすることができます(民法763条)。これを協議上の離婚または協議離婚といいます。
協議離婚の要件は、夫婦間の協議すなわち離婚意思の合致のあること(実質的要件)、および戸籍法に定める届出をすること(形式的要件)です。
規定の推移
協議離婚制度は、旧法により定められました。その趣旨は、当事者による離婚の合意の尊重と離婚原因となるような家内の不体裁、裁判沙汰にせず協議で(家内で)解消しうること、婚姻の手続きと同様の形式により婚姻を解消しうることにあります。
しかし、実際には協議離婚は家制度のもとで家風に合わない嫁の追い出し離婚に利用され、当事者、特に妻の意に沿わない離婚も「協議」の名の下に正当化されることとなりました。
この結果を防止するために、戦後の民法改正時に、参議院が協議離婚につき届出前の家事審判書による確認を求める修正案を可決しましたが、成文化されませんでした。
しかし、詐欺・強迫による協議離婚の取消しが新設されています。
なお、協議離婚に関する旧法の規定は戦後改正時に離婚の同意権者に関する規定が削除されたほかは、ほぼ引き継がれており、本条も同様です(旧808条と同一)。
協議離婚の位置づけ
当事者の協議ができないとき(離婚の合意が得られないとき)は、当事者の他方相手に法定の離婚原因を主張して裁判所に離婚の訴えを提起しなければなりません。
この場合、まず家庭裁判所に調停を申立てなければならず(調停前置主義)、この過程で調停離婚または審判離婚が成立することがあります。
また、離婚の訴えを提起したのちも和解または認諾による離婚が成立することもあり、協議離婚を含め、6種類の離婚方式が認められています。なお、実際には離婚のほぼ9割を協議離婚が占めています。
協議離婚は、夫婦の合意によりしかも行政機関への届出という簡易な方式により離婚を認める点で、日本法に特有の離婚方式といわれています。
夫婦間で離婚の合意が成立した場合には、それを尊重し、法律もそれに干渉しないという、合理的で、ある意味では理想的な離婚方式です。
しかし、そのような協議離婚制度が適正に機能するためには、夫婦が自由で対等な立場で十分に意見を交換したうえで離婚の合意をすることが前提であり、そのような協議を確保する必要があります。
離婚意思の合致
当事者間に協議すなわち離婚についての意思の合致があることが必要です。離婚意思の合致は、届出という方式によって表示されなければなりません。
婚姻や協議離婚などのように、直接に身分の創設・廃止・変更に向けられた法律行為は、本人の自由な意思にもとづくものでなければなりません。すなわち、意思能力(ここでは離婚とはどういうものであるかを理解し判断する能力)を必要とします。
未成年者は、婚姻により成年に達した者とみなされるので、意思能力のある限り単独で協議離婚をすることができます。
離婚意思の意義
当事者に婚姻の実態を解消しようとする意思がないにもかかわらず、離婚による婚姻関係解消の効果を利用して、何らかの目的を達するための便法として離婚の届出をする場合(仮想離婚)に、その離婚を有効とみるべきか否かを巡って争いがあります。
判例は、方便のための離婚の届出であっても、当事者が法律上の婚姻関係を解消する意思の合致にもとづいてしたものである以上、離婚意思がないとはいえず離婚は無効とはいえないとしています(最高裁判所判決昭和38年11月28日)。事実上の婚姻関係は続けながら離婚を届出たケースですが、婚姻関係を解消する意思があるため協議離婚が成立した判例です。
児童扶養手当の認定
児童扶養手当とは、ひとり親家庭の子どもの生活の安定、自立促進を目的とした給付金です。母子家庭だけでなく、父子家庭や公的年金を受給している祖父母が孫を扶養するケースも対象となっています。
受給できるのは、子どもが満18歳になる年度の3月31日までです。
給付を受けるには市区町村から認定される必要があります。認定申請をして、生活状況などの認定調査を受け、支給条件を満たしていると認定されれば、手当が給付されます。
認定の申請書類は、それぞれの生活状況によって異なります。すぐに入手できない書類を求められることもあるので、申請前に一度市区町村役場の担当窓口に出向き、必要な書類を確認しておきましょう。
認定に際しては、どうやって生計を立てているか、養育費はどのくらいもらっているかなど、細部にわたって生活状況が問われます。対面式のことが多いので、事前に受け答えメモを作った方がよいでしょう。
所得によって支給額の制限
手当の支給額は所得に応じて決められます。その際、ひとり親と同居している人たちの所得も合算されます。法律上、その人たちにも扶養義務があり、子どもを扶養していて然るべきだとみなされるからです。
同居の親族から援助を一切受けていないなら、それを証明する必要があります。児童扶養手当が全額支給されるのは、状況にもよりますが、ひとり親と子どもだけで生活していて、養育費はゼロ、といったケースです(ただし、所得制限があります)。
児童扶養手当を受給していると、別の優遇制度を使えるようになります。ですから、金額にかかわらず受給しておくとよいでしょう。
この手当は、ひとり親がきちんと働いている、または求職活動などをしている限りにおいては、減額されることはありません。ただし、自立を支援する趣旨から、手当を受ける人が病気などの理由がなく働いていない場合、受給期間を5年超えたところで2分の1に減額される仕組みとなっています。
ひとり親へのお金の貸付制度
母子・父子・寡婦福祉資金は、ひとり親家庭に対して、市区町村が資金を貸付ける制度です。子どもの進学資金など、多様な資金を借り受けられます。
お金を貸す制度ですので、民間の融資を受けるときと同様に、貸付審査があります。もっとも、福祉が目的の制度ですから、民間に比べてかなり緩やかです。
審査で重視されるのは、以下の2点です。
- 資金を目的どおりに使うかどうか
- 返済プランを考えているかどうか
まず1については、目的を証明する書類や目的達成に向けた計画書を提出しなければなりません。資金を目的以外に使った場合や目的を達成できなかった場合は、貸付金の一時償還を求められることもあります。
ひとり親には「連帯保証人を頼める人がいない」というケースが少なくないため、母子・父子・寡婦福祉資金では、連帯保証人がいない場合でも貸付が認められています。就学資金、就学支度資金、修業資金、就職支度資金(児童分)については無利子です。それ以外については、連帯保証人を建てた場合は無利子、立てない場合は年利1%の利子がつきます。
次に2についてですが、返済期限は、貸付金の種類にもよりますが、一定の据置期間をおいたのち3年〜20年です。返済が滞ると延滞元利金額(返済していない分の全額)につき、年3%(令和2年3月31以前の滞納は年5%、平成27年3月31日以前の滞納は年10.75%)の割合で違約金が課されます。返済計画をしっかり立てないと将来困るかもしれません。
このほか、母子・父子・寡婦福祉資金の特例として、養育費を確保するための裁判費用を貸付けてもらえます。
名義変更で財産を守る
財産分与は、夫婦の共有財産を分け合うものなのでお互いに合意すれば、所有権はどちらか一方に移りますが、名義の変更は義務ではありません。しかし、相手名義の財産を得たときは、自己の所有権を守るためにも名義変更は必要です。
元配偶者名義の不動産がそのまま存在する場合、次のような危険があります。すなわち、元配偶者が自己の名義に不動産があることをよいことに第三者に売却して、名義を移転した場合、第三者に「財産分与で不動産を取得した」と主張することができません。
離婚による財産分与の場合で、不動産を取得する場合は離婚日より前に財産分与の契約をしておくべきです。公正証書で作成するのが一番よい方法ですが、もちろん、その他の書面でもすることができます。財産分与の契約後に離婚届を出した場合、離婚届出の日が不動産所有権移転の日となりますから、あらかじめ司法書士に所有権移転登記を依頼しておくべきかと思います。
学資保険の名義変更
夫婦で契約者と受取人となっている保険は、離婚時に解約または名義変更しますが、子どもの学資保険など将来使いたいものは、どうすればいいでしょうか。
解約した際の払戻金は、支払った保険料より少なくなるのが普通ですので、可能であればこのまま契約を継続し、保険料を支払い続ける方が得かと思います。
親権者でない親が契約者や受取人になっている場合は、保険会社に名義変更を相談してみてください。離婚などの特別な理由があり、夫婦が合意していれば受け付けてもらえます。
職場への報告
勤めている人は、離婚で家族構成が変わった時点で勤め先に届け出る必要があります。勤め先が社会保険などの手続きを行う際に必要だからです。離婚の事実と新たな扶養者があるときは、それを報告すればよく、プライベートな事情を言う必要はありません。
離婚を届け出ることで、福利厚生の面でメリットを得られることもあります。たとえば、勤め先に家族手当などの扶養制度があれば子どもを扶養することでその対象になり、扶養者控除も受けられます。
一人親家庭には、寡婦・寡夫控除などの優遇もあります。元の配偶者の扶養者控除の枠内で働いていた人は、働き方の変更も検討してもらえるでしょう。
これから新しく勤める人は、報告は不要です。子どもを扶養していれば、それだけを届出ましょう。
親族などへのあいさつ
離婚では、戸籍が改まるので少なくとも両親や兄弟姉妹には事前に伝えた方がいいでしょう。面と向かって言いにくいなら、メールでも構いません。
最低でも離婚の報告、別れたあとの暮らし方の二点を伝えます。離婚事情を言いたくなければ「時間をおいて改めて話す」と伝えます。
結婚生活を支えてもらった感謝の気持ちも必ず一言添えてください。結婚生活が破綻したことは別の話として置いておき、お礼を述べておきましょう。周囲の人たちのわだかまりは、この感謝の一言でかなり消えるものです。
仲人や親族、結婚式の出席者のなかで、今も付き合いのある人には離婚挨拶状を出します。新しい生活に向けて、前向きな言葉を書くとよいでしょう。
離婚の事情を聞きたがる友人への対応として、反発したり無視したりするのは逆効果です。頼りにしているフリをしつつ遠ざけるのが一番です。「気にかけてくださって嬉しいです。でも、今はまだ話せる気持ちになれません。そのうち助けてもらうことができるでしょうから、その際に相談させてください」と、さりげなく距離をおきましょう。
戸籍謄本の入手
離婚によって姓が変わった人は、各種の手続きに証明書が必要になることがあります。
自分ひとりの証明なら戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)で構いませんが、子どもを自分の戸籍に入れたなら戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の方がいろいろな手続きに使えます。子どもの戸籍が元配偶者のもとに残っている場合は、戸籍謄抄本はそちらから取ることになります。
手続きによっては、結婚時の戸籍から除籍されたことを証明する必要があります。その場合、元配偶者の戸籍謄抄本かその戸籍が存在しなくなった場合は、除籍謄抄本を交付してもらうことになります。元の配偶者の戸籍には、除籍されたとはいえ、自分のデータが載っていますから、第三者扱いはされず本人として交付の申請ができます。
戸籍謄抄本は手続きによく使うので、少し多めに入手しておきましょう。謄抄本そのものは記載が変わらない限り有効ですが、手続きに添付する際は交付から3〜6か月以内のものを求められます。
現住所の証明には住民票の写しを申請します。手続きによっては、本籍の記載がある住民票が求められるので、まとめて取るなら本籍記載にしておくと便利です。
日常的に使うものから変更
変更手続きは、運転免許証やパスポートなど、国や自治体が発行しているものから行いましょう。本人確認に使えて便利だからです。
続いて、生活に欠かせないサービスの変更手続きをしていきます。携帯電話、自分名義の預貯金、クレジットカードの名義を変更し、公共サービスの氏名・住所変更と支払い口座を変更します。なお、住所確認のために関係書類が郵送されることもあります。このとき誤って以前の住所に送られる場合もありますので、郵便局に転送サービスを申し込んでおきましょう。
社会保険の手続き
離婚する前、配偶者の被扶養者となっていた人は、離婚後は自分が社会保険の加入者になります。加入していないと児童扶養手当などの公的支援を受けられないことがあるので、注意が必要です。
加入にあたっては、元の配偶者の扶養から外れたことを証明する必要があります。配偶者の勤め先から資格喪失証明書か扶養削除証明書を入手してください。年金事務所でも時間はかかりますが、入手することは可能です。
社会保険の変更・加入手続き
年金について、若干の説明をいたします。
第一号保険は、国民年金のみに加入している人です。
第二号保険は、国民年金と厚生年金に加入している人(会社員・公務員)です。
第三号保険は、第二号被保険者の被扶養者です。
第一号被保険者だった人は、そのまま国民年金に継続して加入しますが、氏名と住所が変わった場合は、市区町村で変更手続きを行います。
第二号被保険者だった人は、勤務先に変更がない場合は、そのまま継続して厚生年金に加入します。必要に応じて勤務先で変更の手続きをしてもらいます。
第三号被保険者だった人は、第一号被保険者への変更手続きが必要となります。手続きについては、最寄りの年金事務所で確認することもできます。
このように、年金については専業主婦で配偶者の扶養から外れた人は、すぐに第三号被保険者から第一号被保険者へ種別変更をしましょう。手続きが遅れて未納の期間が生じると年金を受給する際にペナルティを課されるからです。
保険料を払えそうにないなら、保険料免除制度を利用しましょう。免除されている間も納付期間としてカウントされます。このため、未納期間は生じませんが将来受け取れる年金の額は減ります。その後、経済的に余裕ができたら後納制度を利用して穴埋めすることをおすすめします。
なお、働いている人は勤め先が変更手続きをしてくれるので、自分で行う必要はありません。ちなみに、国民健康保険の加入期間ですが、国民健康保険の受給資格を得るには、最低25年の加入期間が必要で、1か月でも不足すれば老齢年金が納付されません。
健康保険の手続き
健康保険は、勤め先の被用者保険(会社や事業団体が運営している健保)に入っている人は、手続きも勤め先が進めてくれます。同居している子どもがいる場合、子どもを被扶養者に登録した方がいいでしょう。
この手続きは、元の配偶者が子どもを被扶養者から外していないと勧められません。本人に頼むか、本人の勤め先に問い合わせるようにしましょう。
休職中や勤め先に被扶養者保険がない人は、国民健康保険(国保)の加入手続きを行いましょう。窓口は市区町村役場です。住民票があれば自動的に被保険者になりますが、利用するには手続きが必要です。
なお、国保は世帯単位で加入するものなので扶養制度がありません。子どもが親の世帯に入っていれば、その保険料は世帯主である親がまとめて支払うことになります。
児童の入退園・転校手続き
保育園の入退園手続き
離婚後に幼い子どもを抱えて働くことになったら、認可保育園への入園を検討しましょう。一人親家庭の子どもは、優先的に入園させてくれます。親が働いていることが原則ですが、今は無職でも仕事探しをしているならば受け入れてくれます。また、家庭生活支援員が、一人親の子育て支援や生活援助をしてくれる公的援助もあります。
認可保育園の手続き窓口は、公立・私立に関係なく自治体です。入園申込書や就労証明書など必要書類を提出します。退園する場合は、退園届を提出します。ゆとりを持って届けないと、規定の期間までの保育料を支払うことになるかもしれません。
小学生の場合、学童保育を利用できます。放課後子ども教室やボランティアが子どもの勉強をみる公的事業もあります。
小中学校の転校手続き
離婚後に引っ越す場合は、子どもの長期休暇に合わせましょう。時間をかけて、子どもが新しい環境に慣れるようにします。その休暇中に、一回は引っ越し前の場所へ遊びに行かせ、これまでの学校の友だちとコンタクトを取れるようにすれば、子どもの断絶感が和らぎます。
子どもだけでなく、自分も早めに転居先のご近所とのコミュニケーションを図るようにしましょう。子どもの安全を守るには、こういった大人の目が一番ですし、相談相手がいれば気が軽くなります。
転校手続きは公立の場合、引っ越し先の自治体に編入手続きを出す際に、転出証明書などの書類を提示すれば編入学通知書が発行されます。指定された学校に、転校用書類と転入学通知書を提出すれば手続き完了です。
転校用の書類は、これまでの学校にあらかじめ連絡しておけば子どもが通学する最終日にもらえます。
私立の場合は、直接学校に問い合わせてください。
離婚後の必要手続き概説
手続き漏れに注意
離婚をすると変更の手続きがたくさん必要になります。離婚前と離婚後で自分の何が変化したかを考えると、手続きの漏れを防ぐことができます。
離婚で姓と住所が変わった場合
結婚時の氏名と住所を登録してあるものは、原則として変更の手続きが必要です。かなりの数になるので、優先順位をつけましょう。運転免許証やパスポート、マイナンバーカードは、今後の手続きの際に本人照会の資料として使えるので、真っ先に手続きしましょう。
運転免許証は、新しい住所を管轄する警察署または運転免許センターで手続きします。パスポートの記載事項変更手続きは、住所地を管轄する旅券申請窓口で手続きできます。マイナンバーカードは、住所地の市区町村役場で手続きします。
そのあと生活に欠かせないサービスから処理していきます。順番としては、お金に関するサービスと公共サービスを優先します。
離婚で配偶者の扶養から外れた場合
配偶者の扶養家族としてサービスを受けていたものについて、手続きをし直す必要があります。社会保険関連(健康保険や年金など)がこれにあたります。手続きには期限がありますので注意してください。
離婚の財産分与で財産が増えた・減った場合
配偶者の名前で登録してあるマンションを財産分与で取得した場合などに、名義を変更する必要があります。不動産のほか、自動車、預貯金、有価証券などがあります。
財産分与の手続き期間
財産分与があった場合、それぞれ期間が異なりますので順序立てて手続きを行ってください。
専門的になる場合もありますので、司法書士に依頼した方がよいでしょう。
不動産は、不動産所在地の法務局に財産分与による不動産移転登記をします。銀行預金は、預金通帳名義の銀行の扱いとなります。生命保険等は、各種保険会社です。株式については証券会社あるいは発行会社、信託会社に相談します。
離婚で子どもの親権者になった場合
扶養していなかった子どもの親権者になった場合、自分の扶養家族に付け替えます。子どもを自分の戸籍に入れた場合は、子ども名義のサービスを新しい氏名で登録し直す必要があります。
公共サービスの氏名・住所変更
水道・電気・ガスなどのライフラインは早めに変更が必要になってきます。
水道は、市区町村・水道局に連絡します。電気は、使用している電力会社に連絡します。ガスは、使用しているガス会社に連絡します。
郵送物は、郵便局を通して転送サービスを利用することができます。
自分と子どもの同じ姓
離婚後の戸籍は、結婚したときに姓が変わった人が抜けるのが基本的なルールです。その際、子どもは結婚時の戸籍に残ります。
籍を抜けた方が親権をとっても、子どもの戸籍は動きません。親子が別々の姓を名乗ることになります。親権者が結婚時の姓を名乗りたければ、姓だけを親子で同じになりますが、戸籍は別々のままです。
親権者と子どもの戸籍は同じ方が便利な一方、改姓が子どもの大きなストレスになるのも事実です。どちらにすべきかは、子どもの意思を聞きながらじっくり考えましょう。
子どもが15歳になれば、自分で姓の変更を申し立てることができます。自分の意思で姓を選べますから、その時点で考えてもいいでしょう。
子どもの戸籍を移す方法
子どもを同じ戸籍に移したいなら、前段階として自分が筆頭となる戸籍を作る必要があります。離婚届を出す際に、「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄で「新しい戸籍を作る」をチェックすればOKです。
ここで、「もとの戸籍に戻る」をチェックした場合、戸籍には二代までしか入れないので、孫にあたる子どもは戸籍に入れません。その場合、分籍の手続きをして子どもを筆頭とする戸籍を作ります。
戸籍ができたら、「子の氏の変更許可」を家庭裁判所に申立てます。許可を得て、市区町村役場で入籍の手続きをすれば、子どもの戸籍が変更されます。子どもの姓を変更する手続きは、親権者でなければできません。相手に親権があるときは、そちらから申立ててもらう必要があります。
なお、分籍とは子が親の籍から抜けて新しく戸籍を作ることです。「戸籍の筆頭者、その配偶者でないこと」「成人であること」が条件となります。
子どもが改姓しても、もとの姓に戻りたいという場合があります。このような場合に、子どもが成人に達して1年以内であれば、市区町村役場で入籍の届出をするだけでもとの戸籍に戻ることができます。
その時期まで待てない、あるいはすでに過ぎてしまったなら、子の姓の変更手続をもう一度行ってください。成人を過ぎでも「子」として変更できます。
離婚と相続
夫婦は婚姻関係を解消した時点で、他人となり相手の財産を相続する権利を失います。一方、親子の血縁は解消されないため、子どもの相続権は残ります。
親が親権者でなくても、また戸籍が被相続人の親と違っても、相続権には影響しません。
ただし、男親から嫡出否認や親子関係不存在確認を受けている場合、別に実父がいて強制認知されている場合は、親子関係が否定されているので相続権もありません。
亡くなった親と血縁がある子どもは、同母・異母、同父・異父に関係なく、法定相続分は全員同じです。
親の再婚相手の連れ子には血縁関係がないために、相続権はありません。同様に、実親の再婚相手が亡くなった場合は、子どもは再婚相手(継父母)の財産を相続することはできません。連れ子に相続させたいときは、継父母との養子縁組が必要です。養子には、実子と同じ相続権があります。
遺言書にない取り分も主張できる
遺言書があればその内容が優先されますが、内容に不服なら子どもを申立人として権利を主張できます。
離婚した元夫が、「愛人とその連れ子に全財産を相続させる」と遺言するなどして、相続権のない人が遺産を譲り受けてしまっても血縁のある子どもの相続分がゼロになるわけではありません。
遺留分侵害請求を行えば、その子の遺留分に見合った割合で、受贈済みの財産の一部をお金で返してもらえます。 法定相続人が子ども二人だけの場合、相続財産の二分の1となります。
父親の死を長いあいだ知らなかった子の相続
音信不通の父親が死亡していて、すでに遺産分割が済んでいても子どもの相続権を主張できます。親の財産のうち、借金などマイナス財産が多かった場合は返済の義務が生じますので、親の死を知ってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申立てます。
遺留分侵害請求や相続放棄は、法律の専門家である司法書士に相談するのが確実です。
養育費の算定表
養育費の額を決めるには、養育費算定表を参考にしてください。家庭裁判所のホームページでも見ることができます。子の人数と子の年齢(0〜14歳、15歳〜)に応じて参考にする表が分かれますので、まずは自分の場合にあてはまる表を見つけましょう。
養育費の算定表は、両親の収入をもとに子どもを扶養していない方の親が支払うべき標準的な額を示したものです。扶養している親の方が収入が多くても、あるいは扶養していない親が無収入に近くても、養育費を負担する設定になっています。養育費負担が経済力とは無関係に親の義務であることがわかります。
実際の金額は、この算定表の枠内で両親が協議して決めることになります。離婚調停の場合も、養育費の目安として算定が用いられています。
経済事情の変化と養育費
子どもが成人するまでに、養育費の支払い期間は長期間を要します。この間、両親の経済状況が変化することは十分に想定できます。たとえば、取り決めた金額では子どもを扶養できなくなったときには、支払う親の負担を増やしてもらうこともできます。反対に支払う親の収入が減った、再婚によって扶養家族が増えた、受け取る親の収入が増えたことによって、養育費を減額することができます。
この場合の手続きとしては、まず両者が減額もしくは増額について交渉を行います。話し合いで合意すればその内容を公正証書などの文書にまとめます。
話し合いで合意がえられないときは、養育費の額の変更を求める調停を利用します。この場合、増額・減額に応じる経済力が相手にあるかどうかがポイントとなります。
離婚時に一時払いで養育費を受け取った場合、あとで増額が認められる可能性は低いのが現状です。
再婚した場合は問題があります。再婚をしても元夫の養育費の義務がなくなるわけではないので、養育費を受け取ることはできます。ただし、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、減額を請求される可能性が高くなります。養子縁組をすると、子どもが再婚相手の遺産を相続する権利も生まれるので、どちらを取るべきか慎重に検討することが大切です。
養育費の未払い
離婚の際の養育費について取り決めをしたとしても、養育費を確実に確保できるとは言い難い状況です。
養育費が約束どおりに支払われないときには、電話やメールで催促をします。それでも支払われない場合には、内容証明郵便を出します。法的拘束力はありませんが、心理的な効果があります。
家庭裁判所の調停、審判、判決で養育費の支払いが決められているのに養育費が支払われないときは、家庭裁判所に「履行勧告」を無料で申立てることができます。
家庭裁判所は、申立てを受けると養育費の支払い状況について調査をして、正当な理由もないのに支払ってない場合には、義務を果たすように勧告を行います。勧告は電話や手紙を中心に行われ、呼び出しや訪問をすることもあります。ただし、あくまで自発的に支払いを促すものであり、強制力はありません。
履行勧告に応じない場合は、「履行命令」の申立てを行います。申立てを受けた裁判所は、支払いを実行しない人に対して、期限を決めて支払うように命じます。
強制執行
強制執行認諾約款付の公正証書や調停、審判、裁判所の判決で養育費の支払いが認められているのに支払いが滞っているときは、地方裁判所に強制執行の申立てを行うことができます。強制執行ができる財産には、不動産、動産(家財道具など)、債権(給料や預金)などがあります。
養育費は子どもが成人するまで長期にわたって支払われるのが基本ですので、定期的な収入である給料を差し押さえるのがもっとも理想的といえます。
強制執行で給料を差し押さえるときは、給料の二分の1までを差し押さえることができます。これは、過去の支払われなかった分だけでなく、将来の支払いにまで適用されます。
親の義務としての養育費
未成年の子どもを世話して育てるのは父母それぞれの義務であり、それにかかる費用としての養育費も両親が負担します。子どもが成人するまで養育費の義務はあります。「負担しない」という選択はどちらの親もできません。別居中で養育に携わっていないといった事情とは無関係です。
養育費の支払いは何歳まで続けるか問題です。養育費は、原則、子どもが20歳になるまで支払われるのが通常です。成人年齢が18歳に引き下げられたことから、18歳になっても20歳までが多いです。もちろん、両親が協議のうえ決めることですから、子どもが教育機関を卒業し就職する時点を終期とすることもできます。子どもが高卒で就職するなら18歳の3月まで、大卒で就職するなら22歳の3月までといった具合です。それ以降は、病弱であるなど正当な理由があれば扶養義務が続きますので、親同士の話し合いとなります。
「親同士が離婚を受け入れてくれるなら、養育費はいらない」「子どもと同居できないなら養育費を負担しない」などと取り決めることもありますが、養育費を負担してもらうのは子どもの権利なので、親の都合でそれを奪わないようにしましょう。
養育費の内容
養育費は、未成年の子どもを世話して育てるものですから、次のような内容です。
- 子どもの生活費として食費・被服費・住居光熱費などです
- 教育費として授業料・学習塾代・教材費などを含みます
- 医療費、子どもの小遣い、交通費なども養育費に含めるべきです
養育費を取り決める方法
まず、夫婦の話し合いで決めるべきです。養育費の金額、支払い時期、支払い期間、支払い方法などを具体的に決めておきます。内容を書面にしておくべきです。もっともよいのは、強制執行認諾の約款がついた公正証書にしておくと、強制執行(差し押さえ)ができます。
夫婦間の協議で決められない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めます。離婚届を出してからでも養育費の請求の申立てをすることができます。家庭裁判所の調停や審判で決まれば、いざというときに強制執行ができます。
家庭裁判所の裁判で決めることもできます。離婚を求める裁判を起こすときに、同時に養育費について申立てることもできます。
子どもの成長と養育費
子どもを実際に扶養する親は、当然に養育費を負担することになりますが、離れて暮らす親はそれができないので扶養する親に養育費を払わなければなりません。
どちらがいくら払うかは、双方の話し合い次第です。子どもが自立するまでの費用を算出し、子どもの成長に合わせた養育費をお互いがどのくらい負担できるかを話し合います。
それぞれの経済力に応じて今後の収入見通しも検討しながら、分担額を決めていきます。どちらの親と暮らすかによって、子どもの生活レベルが違ってしまう事態があってはならないので、収入が多い親と同レベルの生活をおくれる額で取り決めましょう。
なお、養育費は慰謝料や財産分与とは無関係です。慰謝料や財産分与が支払われたからといって養育費の支払い義務がなくなることはありません。
養育費と支払い条件
養育費を取り決めるときは、万が一のとき強制執行ができるように、金額だけでなく支払い条件を詳細に決めておきます。条件が具体的でないと、支払う側が義務を怠っても法律の手続き上、強制的に支払わせることができず、自発的に支払う義務を果たすのを待つしかないためです。
子どもの進学や物価の上昇に備えて、「養育費に変動が生じた場合には、話し合いにより増減できる」「大学入学以降については、高校3年のときに話し合う」などと取り決めておきます。
養育費の支払い
養育費は継続して必要なお金ですから、支払いは定期払いが原則です。指定した期限までに金融機関の口座に毎月一定額を振り込む方法が一般的です。しかし、支払いが途中で滞りそうなら一括払いを要求しても構いません。支払う側がどれほど信頼できるかを判断し、定期払いか一括払いを判断します。
定期払いの場合、負担は長期に渡ります。将来起こりうるトラブルを考えて、対策を立てておきましょう。例えば、支払いが滞った場合はどうするか、お互いの経済環境が変わったときはどうするか、などです。離婚協議の最中は、そういった気力がなくなるものですが、一人親世帯の子どもが経済的困窮から学力不足になる問題も起きています。協議が面倒でも、それを行うことが子どもの安定した人生につながります。
離れて暮らす親の立場
面会交流を進めるにあたっては、子どもと離れて暮らす親、いっしょに暮らす親のそれぞれの立場で注意すべきポイントがあります。
離れて暮らす親は、事前に取り決めた面会交流の約束事を守ることが第一です。面会の終了時間や子どもを引き渡す場所などを当日になって勝手に変えるのは厳禁です。なんらかの事情で約束が守れないときは、いっしょに暮らす親に事前に連絡を入れるようにします。
面会中は、いっしょに暮らしている親についての話題は避けるようにして、子どもが関心を持っていることや学校での出来事など、子どもが前向きに話せるような話題を選ぶようにします。
また、子どもの気を引くために高価なプレゼントを渡す行為は、子どもの健全な成長を妨げるおそれがあります。
同様に、事前の相談なく「いっしょに旅行へ行こう」「遊園地に行こう」などと子どもと約束すると、子ども自身を両親の板挟みにさせかねません。プレゼントや旅行などの重要なことは、一方的に決めずに事前に相談するようにしましょう。
いっしょに暮らす親の立場
子どもといっしょに暮らしている親もスムーズな面会交流に協力する必要があります。
まず、面会交流に先立って、子どもの健康状態や日常の様子などについて、離れて暮らす親に伝えておくようにしましょう。そうすることで、面会交流時の親子のコミュニケーションがうまくいき、子どもが安心する効果があります。子どもを送り出すときは、面会交流はよいことだと伝え、笑顔で送り出します。これは、離れて暮らす親と会うことを子どもに後ろめたく思わせないための配慮です。離れて暮らす親について暗いイメージを抱かせるような言動も慎むべきです。
そして、子どもが帰ってきたときも笑顔で迎えることが大切です。面会中の出来事については根掘り葉掘り聞かずに子どもが親と過ごした時間をあたたかく認めることで、子どもの心理的負担が軽減されます。
子どもの立場
子どもが面会交流に後ろ向きな態度を示したときには、子どもの言葉に耳を傾けます。子ども自身がどうしたいのかという気持ちを確認することが第一です。子どもの気持ちを尊重して、しばらくは面会交流を中止する判断も必要です。
子どもは、いっしょに暮らす親の愛情を失うのがこわくて、離れて暮らす親と会いたくないということもあります。子どもの本心は慎重に探る必要があります。
子どもが会いたくないと言っても、面会交流を一切禁止してしまうのは、親同士の争いの元となります。親同士で冷静に話し合って、これまでの面会交流の進め方について改めるべきところは、改めるようにしましょう。子どものために親同士が協力するという姿勢を忘れないことが大切です。
面会交流時の子ども連れ去りへの対応
引き渡しの審判の申立て
離婚後の面会交流時に、子どもと離れて暮らす親が子どもを連れ去ってしまうことがあります。親権者や監護者でない親が子どもを連れ去るのは違法行為です。
しかし、連れ去りであっても相手がその後に監護実績を十分に積み、子どもにとって生活が安定しているなら相手に親権を求める申立てを起こされたとき、連れ去られた方が不利になることがあります。これに対抗するには、この引き渡し審判を申立て、相手の監護実績を阻止することです。基本的に連れ去りを行うような相手と、話し合いによる解決は期待できないため、調停ではなく審判を選択することが一般的です。
相手の現住所の確認
もし連れ去られた先がわからない場合は、すぐに相手の現住所を確認してください。住所を知るには、市区町村役場で戸籍の附票を請求します。離婚していても子の親であれば取得できる可能性があります。しかし、相手が閲覧制限をかけていると残念ながら発行されません。この制度は、本来DV被害者を守るものですが、子どもの連れ去りにも悪用されてしまうのが実情です。
相手の現住所がわからなくても、相手とつながるなんらかの住所を特定して一刻も早く審判を申立てましょう。連れ去りから時間が経つほど、相手の監護実績が増えて不利になります。申立てと同時に、審判前の保全命令も請求し、子どもの引き渡しの仮処分を求めます。
審判申立ての前段階で、捜索願や未成年者略取の被害届を警察に出すことも検討してください。それで警察が動くとは限りませんが、審判で相手が監護実績を主張したときに、それが違法行為によるものだと反論できます。
なお、審判で自分の監護実績を証明してもらうために、日頃から子どもの友人の保護者や近所の住人とコミュニケーションをはかっておきましょう。
引き渡しを命ずる審判が出ているにもかかわらず、相手が応じないときは、地方裁判所で人身保護請求を申立てます。
親の権利かつ子どもの権利
離婚で離れて暮らすことになった親にも、子どもと会ったり、連絡をとったりすることが認められています。これを面会交流といいます。子どもと会う以外にも、電話やメールなどをやり取りする、プレゼントを贈る、学校行事への参加・見学、子どもの写真などをもらう、などの行為も面会交流にあたります。
同居している親も離れて暮らす親も、正当な理由がない限り、面会交流を拒むことはできません。なぜなら、面会交流は子どもの権利でもあるからです。
分かれた親子が会うことは、以前から面接交流権として実質的に認められていましたが、法律にはありませんでした。民法が改正された際、離婚時に協議すべきものとして、面会交流と養育費の分担が明文化されたので法律でも認められた権利になりました。現在の離婚届には、面会交流の取り決めの未決・既決をチェックする項目が設けられています。
どちらの親とも会えるという状況は、子どもの成長にとってプラスとなるので、権利として尊重すべきという考えです。面会交流が子どもの福祉にとって明らかにマイナスになる場合は、本来の目的に反しますから、同居している親の権限で制限や拒否ができます。
子どもにとっての面会交流の主なメリットとしては、次のような点が考えられます。
- どちらの親からも愛されていると実感し、安心や自信を得ることができます。
- 子どもが成長する過程で、親のことを人生のモデルとして捉えられます。
- 離れて暮らす親をどんな人か知り、自分のルーツを確認できます。
- 離れて暮らす親に対してよい印象を持って生きていくことができます。
条件を話し合う手順
子どものマイナスになること以外は、原則として面会交流を拒めません。しかし、どんな条件で面会交流を行うかは、父母の話し合いで自由に決めることができます。お互いに子どもの気持ちを第一に考え、折り合いのつくところを探しましょう。
面会交流ができる親ほど、養育費をきちんと払うという調査結果もあります。面会交流は、離れて暮らす親に「親の自覚」をもたらすようです。
面会交流に関して父母だけで合意できない場合、家庭裁判所に調停を申立てます。親のどちらかが面会交流を拒むケース、反対に、離れて暮らす親が必要以上に子どもと接触をはかろうとするケースなどがあります。離婚後に取り決めを変えたい場合も、法的強制力を考え、調停や審判で話し合う方がよいでしょう。
面会交流を拒否・制限する理由となりうる事情は、次のようなものが考えられます。たとえば、子どもに暴力をふるうとか、正当な理由もなく養育費を支払わない、子どもを連れ去るおそれがある、などです。
また、面会交流に乗じて復縁を迫るとか、子どもにふさわしくないことを体験させる、子どもに金銭を要求することなども面会交流の拒否制限の理由でしょう。
面会交流の条件決定のポイント
面会交流の条件は、あとで見解の食い違いがでないように、できる限り具体的に決めましょう。ただし、相手は子どもですから、急な病気で予定がダメになるなどよくあることです。それを考えると、条件にはある程度の柔軟性が必要です。
条件を具体化しつつ、柔軟性を持たせるには基本となる条件とその代案という二重構造にすることです。
たとえば、基本の条件を「面会は第三土曜の9〜15時」と決めておき、ダメになった際の代案として「第三日曜の9〜15時に振替」、それもダメなら「翌月第一週に振替」など、複数用意しておくのです。
また、子どもはどんどん成長しますから、年齢に応じて条件を調整し直せるよう話し合いの機会を持つ手段を取り決めておくことも重要です。
別れた相手と直接接触したくないなら、信用できる第三者を介して話し合う方法もあります。くれぐれも、子どもを伝言係にして話し合いを進めないようにしてください。
面会しないとき・できないとき
面会交流は、子どもを親の板挟みにしないことが大原則です。子どもの意思を無視して、大人だけの都合で面会交流の条件を決めないようにしてください。
子どものからだの負担も考えましょう。子どもの健全な成長のために行うことを忘れないようにしましょう。遠距離の場合の面会交流は、子どもの負担を考え、中間地点で面会するなどの配慮も必要です。
何らかの理由で面会交流が行えない場合、子どもがそれで落ち込まないように細心の注意を払ってください。子どもには、「今回、お父さん(お母さん)の事情があって会えないけど我慢してね。あなたが悪いのではないのよ」と伝えましょう。相手を批判するのは子どもにとって逆効果となります。
親権者変更の理由
一度決めた親権は、父母の都合だけで勝手に変更することはできません。親の都合で頻繁に親権が変更されると子どもの成長に悪影響を及ぼしかねないからです。親権者の変更には、家庭裁判所の許可が必要となるため、家庭裁判所に調停または審判を申立てる必要があります。
家庭裁判所で親権の変更が認められる場合の理由には、さまざまなものがあります。たとえば、親権者が死亡、行方不明となったときには、もう一人の親に親権者を変更できます。それ以外にも、以下の理由があれば変更を申立てることができます。
- 親権者が適任でないとわかった場合
虐待や放棄はもちろんですが、経済的に教育を十分にできない、子どもに労働を強制しているなどの場合も、その親を親権者にしておくのは子どもにとって好ましくないとして、変更を申立てる理由になります。 - 親権者に子どもを世話している実態がない場合
親権者でない親の方が、子どもを世話をしているときに、親権者変更を申立てられます。つまり離婚時に親権者でなくても子どもと暮らし続けていれば、親権者になれる可能性があります。
調停や審判の申立て
親権者変更の調停は、原則として現在の親権者の住所地の家庭裁判所に申し立てます。親権者が行方不明や死亡した場合は、家庭裁判所に審判の申立てを行います。
申立ては、子どもの父母以外に祖父母や叔父・叔母などの親族も行うことができますが、子ども自身はできません。有責配偶者も申立てることは可能です。
調停や審判の流れは、親権者の指定のときと同じです。調停では、親権者を変更することが子どもの福祉に叶うかどうかが考慮されます。具体的には、現在の親権者からどれだけ愛情を注がれているか、現在の親権者がどんな意向を持っているか、これまでの養育状況はどうだったか、子どもの年齢や性別、性格、修学の有無、生活環境などが調査されます。子どもが15歳以上の場合は、裁判所が子ども本人の意思を確認して尊重する傾向があります。父母間で親権者変更に合意があるというのも判断材料の一つとなります。
親権者変更の届出
調停や審判の結果、新たに親権者になった人は、成立した日から10日以内に、市区町村役場で親権者変更の届出を行う必要があります。
このとき、家庭裁判所の調停調書(審判調書)や子どもの入籍届、戸籍謄本などを新しく親権者になる人の戸籍がある市区町村役場に提出します。
親権の剥奪
子どもを虐待している、生活に困窮して子どもが学校に行けていない、子どもの財産を勝手に処分しているなど親権者のせいで子どもの利益が著しく害されている場合、家庭裁判所に審判を申立てて、親権を喪失させることができます。
これは、実質的に子どもの親族や検察官、児童相談所所長などの第三者が、子どもの利益を保護するための制度です。親権喪失の申立ては、上記のもの以外にも一方の親や子ども本人も行うことができます。
親権喪失の申立てを行ったとき、審判が確定するまでのあいだ、親権者の親権を停止し、親権代行者を選任することもできます。しかし、親権喪失では、親権が無制限に奪われるため、二度と親子関係に戻れなくなってしまうおそれがあります。
子どもを虐待する親の親権を制限したい場合でも、親権喪失の申立てはほとんど行われていないのが実情です。
そのため、親権喪失に変わる緩やかな措置として、最長二年間、親権を喪失させずに停止することができます。この間に、子どもの心身の安全を確保するだけでなく、親権者自身の改善を促し、再び親子関係を結ぶことが目的です。
親権停止の期間は、親権停止の原因がなくなるまで要する時間や、子どもの生活状況をもとに家庭裁判所が定めます。
子育ての方が優先
協議離婚では、夫婦が自由に親権者を決められます。一方、調停や裁判では、子どもの利益を守る適任者であるかどうかが重視されます。
ではどんな親が適任者とされるのでしょうか。
もっとも重視されるのは、子どもの現在の生活環境が変わらないかどうかです。生活環境の激変は、子どもに強いストレスを与えるからです。このため、これまで主に子育てを担当してきた方の親や、現時点で子どもと同居する親が優先される傾向にあります。
もし親権がほしいなら、離婚するまでは子どもと離れて暮らさないことです。また、子育ての実績を示す証拠(育児日記・母子手帳・連絡帳・写真など)を確保しましょう。子どもが10歳未満の場合、育児に手慣れているかどうかが重視されます。身の回りのことが自力でできないうちは、手慣れた親にサポートされた方がいいとの判断からです。子どもの食事を作って食べさせていたのはどちらか、保育園の送り迎えをしていたのはどちらか、などの事実が判断材料となります。
親権者の判断の目安
子どもが乳幼児であれば、ほとんどの場合親権は母親が持つことになります。母親が子どもの世話をする時間が父親と比べて長いからです。
これは、母親が愛情をもって育児をしていることが前提の話です。虐待や育児放棄の事実があれば母親でも親権者にはなれません。浮気をした有責配偶者であっても、育児をきちんとしていたなら親権にはあまり影響しません。また、親の資力はあまり問題にされません。養育費で対応できるからです。
10歳未満の子どもの場合、母親が親権者になることが多いでしょう。これは、生活をするにあたって、母親の愛情と世話が重視されるためです。
10歳以上15歳未満の場合は、子どもの精神的、肉体的発育状況が考慮されます。現在の監護状況や子どもの意思を尊重する場合もあります。
15歳以上成年未満の場合は、子ども自身に判断能力があるとされますので、子どもの意見を聞き、原則としてその意思を尊重して決定します。
親権者の決定時に重視されること
第一に監護実績です。子どもがおかれている環境の維持が重視されるため、これまで主に子育てをしてきた親や現時点で同居している親が有利となります。
第二に子どもの年齢、意思です。前記のとおり、子どもの年齢により親権者の判断の目安が異なりますが、概ね10歳未満の場合は母親が優先されるケースが多いでしょう。15歳以上は本人の意思が尊重されます。
第三に周囲の助けです。祖父母など親以外の親族が生活を助けてくれる環境があるかどうかが考慮されます。
第四に子どもに対する愛情です。子どもに対して愛情があるか、子育てに意欲を持っているかなど、親の精神状態も考慮されます。
親権者の決定と子どもの意思
子どもが15歳以上ならば、その子の意思が尊重されます。ただし、必ず子どもの意思どおりになるとは限りません。
10〜14歳までの子どもは、判断力は十分でないものの自分の意思を表す力はあるとみなされます。そのため、ある程度はその子の意思が反映されます。しかし、子どもが一方の親から強制されたり親の気持ちを察したりして発言する可能性もあるので、裁判所では発言が本当なのかが総合的に判断されます。
監護者
親権には財産管理権と身上監護権があります。原則として、子どもを引き取った親が親権者となり、二つの権利と義務を行使します。
しかし、親権から身上監護権を切り離し、監護者を決めることがあります。監護者を置くのは、離婚の話し合いのなかで親権の取り合いになり、どうしても親権者が決まらない場合です。事態を収拾するため、親権の様相を二つに分けることで解決をはかるということです。
一方の親が親権者となる代わりに、もう一方の親が監護者として子を引き取り、子どもの世話を行います。
ただし、親権から監護権だけ分かれている状態だと子どもに不利益が起きやすいので、裁判所ではあまり認めていません。あくまで最終的な手段として考えるべきです。
協議離婚での親権分離
協議離婚なら取り決めは自由ですから、理論的には親権者と監護者を分けることは自由です。しかし、その取り決めを法律は守ってくれません。
協議離婚を公的に証明するものは離婚届しかありませんが、そこには監護者を書く欄がないからです。子どもの監護権をめぐって争いになったら、離婚届という公的書類で証明された親権者の方が尊重されます。つまり、親権者が「監護権を渡した覚えはない」と主張すれば、監護者の身上監護権が奪われかねないということです。
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