成年被後見人の婚姻婚姻の法文解説
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民法第738条
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない
本条は、平成12年4月1日に施行された成年後見制度により、従来の「禁治産者が婚姻をするには、その後見人の同意を要しない」との、文言が廃止され、禁治産者を成年被後見人に、後見人を成年後見人と、変えて規定したものです。
成年後見人の同意・取消権は、基本的に日常生活に及びません(民法第9条)。
また、成年後見制度は、画一的能力制限を廃止し、本人の意思尊重が明文化されています(858条)。
これらのことから、成年被後見人が意思能力を有している限り、単独で身分行為を行い得ることは、当然と考えられます。
なお、改正前は、禁治産者の婚姻の届出には、医師の診断書の添付が義務付けられていました(旧戸籍法32条)。
しかし、成年被後見人であることは、後見登記ファイルに記録されるため、戸籍の記載からは確認できないので、戸籍法32条2項は、削除されました。
実務の取扱いも、届出人に不審な点がない限り、診断書を求めてはいません。
成年被後見人となるのは、比較的高齢者が多く、高齢者の婚姻に伴う特殊性が問題になることがあります。
死亡直前の婚姻の場合に、婚姻意思の問題で、争われることも多いようです。
該当事例として、名古屋高裁判決昭和55年は、次のようなものです。
成年被後見人甲は、死期が近づいた頃に、長年親身の世話をしてくれた乙を妻として、自分の死後に、遺族年金を受けさせたいと考えました。
そこで、甲は、乙の承諾を得て、婚姻届出を行いました。
ところが、甲死亡後に、亡き先妻の親族により、婚姻意思なしとして婚姻無効が争われましたが、判決は、両者の婚姻意思を肯定し、婚姻の有効性を認めました。