内縁(その5)婚姻の法文解説
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内縁配偶者には、配偶者相続権が認められていません。
その結果、内縁の夫が、自己を被保険者とする生命保険契約をするにあたり、保険金受取人を「相続人」としていた場合には、内縁の妻は、これに当たりませんから、生命保険金を受け取ることができません(大阪地方裁判所判例昭和53年)。
内縁の夫の相続財産について、相続人が不存在の場合には、内縁の妻は、「被相続人と生計を同じくしていた」特別縁故者として、分与を受けることができます(民法第958条の3)。
祭祀財産の承継について、祭祀主宰者は、被相続人の指定が優先しますから(第897条)、被相続人が、内縁配偶者を祭祀主宰者に指定していれば、問題は解決します。
被相続人が、祭祀主宰者を指定していない場合に、被相続人と生計を異にしていた弟・妹でなく、20年間共同生活をしてきた内縁の妻を、祭祀主宰者に指定した例があります(大阪高等裁判所決定昭和24年)。
内縁配偶者には、相続権が認められないことに対処する方法として、贈与や遺贈があります。しかし、例えば、死亡した内縁の夫の相続人から、遺産を確保するために、当該贈与が書面によらないことを理由にして、内縁の妻への贈与の取消しを請求することがあります。
これでは、内縁の妻は、気の毒です。
そこで、判例は、事実関係から贈与の履行が終わっているから、取消しができないと認定したり(最高裁判所判例昭和39年)、贈与の取消しは、信義則に反するとして、贈与の取消しを認めない(東京高等裁判所判例昭和46年)、などの解決をして、内縁配偶者を保護しています。