暴行・虐待・侮辱による離婚離婚の原因
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総論
民法第770条1項五号は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を離婚原因としています。
これは、婚姻関係が深刻に破綻し婚姻の本質である共同生活の回復の見込みがない場合をいいます。
その判断は、婚姻中の両当事者の行為や態度、婚姻継続意思の有無、子の有無、双方の年齢・健康状態・性格・職業・資産など、一切の事情が総合的に考慮されます。
具体的破綻事由
婚姻を継続し難い事由となる具体的破綻事由には、様々な類型があります。
ここでは、暴行や虐待、重大な侮辱の事由について裁判になった、代表的判例を紹介いたします。
暴行の事由
夫はすぐにキレる性格、小さなことにも興奮しやすく、暴力を振るう。
あるときは灰皿代わりに使用していた茶器で妻の頭を殴打し、傷害を負わせる。
このような常軌を逸した狂暴な振る舞いに及ぶ夫の暴力行為は、五号の離婚原因に該当します。
(最高裁判所判例 昭和33年)
虐待の事由
妻は夫に対し一晩中タオルを持っただけの裸でベランダに放置。
またある夜には、夫に子供用の二段ベッドに就寝することを強要。
ある朝には夫の出勤前に何らかの原因でキレた妻は、突然に夫の背広やネクタイをハサミで切る。
会社の同僚との飲み会で遅く帰宅した夫、そのまま布団に入った際に就寝中の夫に妻はペーパーナイフを持って襲いかかり、腕や額に軽傷を負わせる。
さらに、妻は夫に対し日常茶飯事的に、水や味噌汁、ミルク、ジュースなどを頭から浴びせかけたりした。
このような虐待行為は、五号に該当し、離婚原因となるとの判決が出ました。
(東京高等裁判所判例 昭和58年)
重大な侮辱の事由
夫婦は家庭内別居同然で、妻が二階に居住。
ある日、妻が突然二階から降りてきて、「いじめられた」「結婚して損をした」「夫が実母とべったりだ」などと具体性のない非難を夫に浴びせる。
また、あるときには突然に興奮し、夫に対し「威張るな」「ばかやろう、何を言いやがる」などと暴言をはく。
優しい夫が自宅車庫の上の六畳一間で独り暮らしをしている老母を案じて立ち寄ると、妻は「二人で何を相談した」「どんな悪口を言った」と怒鳴りつける。
さらには、長女と二人で夫を罵倒し、「ばばあは早く死んでしまえ、邪魔だ」と暴言をはく。
このような妻の侮辱的言動などは、五号に該当すると判断されました。
(横浜地方裁判所判例 昭和59年)