財産分与、慰謝料請求権の行使離婚の慰謝料
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財産分与と慰謝料の関係について包括説と限定説の対立がありますが、両説は手続きとの関連で、さらに細かく対立します。包括説のうち、包括不可文説は、慰謝料請求権の実体は財産分与請求権に吸収されて後者だけが存在し、手続き的にも不可分一体であるとします。それに対し、包括可分説は、慰謝料請求権の分離独立は可能であり、手続き的にも両者を分け得ると言います。
限定説も、慰謝料と財産分与を別個のものと認めつつ相互の関連を認める限定相関説と、両者をまったく別個独立の観念としその間に相関性も認めない限定独立説に分けられます。
実際には、調停・審判・判決のいずれの場面においても、財産分与・慰謝料とも、離婚と同時にあるいは一回で解決されるのが一般的です。両者の違いは実務では比較的稀な、離婚と同時に離婚給付が解決されなかった場合や、財産分与と慰謝料とが手続き上別個に請求された場合に現れるといいます。
最高裁判所判例昭和31年は、財産分与がされていない段階で、妻から夫に対し離婚と慰謝料を請求した場合です。夫側は、新法によって財産分与請求権が認められた以上、慰謝料請求は離婚原因による慰謝料請求だけが認められると主張しました。
最高裁判所は、次のように判示しました。すなわち、財産分与請求権は、必ずしも相手方に離婚につき有責不法の行為のあったことを要件とするものではなく、離婚慰謝料の請求権とはその本質を異にします。権利者は、両請求権のいずれをも選択して行使することができます。
ただ、両請求権は互いに密接な関係にあり、財産分与の額及び方法を定めるには、一切の事情を考慮することを要します。よってその事情のなかには、慰謝料支払い義務の発生原因たる事情も当然に斟酌されるべきであると、述べたのです。