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株式会社設立の法文解説

  • 会社の本店とは、会社の主たる営業所のことです。会社の本店所在地は、「会社の住所」であり、民事訴訟事件の訴えや設立登記、合併登記などの登記の管轄を定める基準になるなど、法律上重要な役割を果たします。その意味で、会社の本店所在地は定款の絶対的記載事項とされています。

    本店の所在地は、日本国内であれば事由に定めることができますが、定款に記載する本店の所在地は、本店の所在する「独立の最小行政区画」の記載で足ります。この「独立の最小行政区画」とは、「市町村」および「東京都の特別区」を言い、(たとえば、「埼玉県越谷市」、「東京都千代田区」など)、政令指定都市の場合は、市を指定すれば足り、区まで指定して記載する必要はないとされています。(たとえば、「愛知県名古屋市」、「宮城県仙台市」など。)

    なお、会社の設立登記申請の際には、「本店および支店の所在場所」が登記事項とされており、この「所在場所」は、住居表示上の地番までを意味します。

    定款に、住居表示上の地番(たとえば、「埼玉県越谷市千間台西一丁目○番○号」まで特定して記載することもできます。ただし、この地番まで特定した場合には、同じ行政区画内で本店を移動する必要が生じた場合でも、定款変更の手続きを経て登記所で変更登記をしなければならないことになります。

  • 会社の目的に関して、「商業」、「事業」、「商取引」、「サービス業」、「営利事業」、「建設業」などという、具体性を欠く目的についても、登記が受理されることになります。したがって、公証人も、原則として目的の具体性の審査を行っていません。

    しかし、このような目的の具体性を欠く場合には、金融機関から融資を受ける際や、監督官庁に許認可の申請をする際、あるいは重要な取引先との取引の際、支障をきたす恐れがあります。

    また、類似商号の規制が廃止されたとはいっても、会社法8条により、不正の目的をもって、他の会社と誤認されるような商号を使用することを禁止されています。

    さらに、不正競争防止法により、類似商号を用いた場合に、差し止め請求や損害賠償請求を受ける恐れがあります。よって、商号の選択とともに会社の目的の選択には、注意を要するところです。

    このようなことから、会社法下においても、目的は具体的に記載することは必要かと思います。なお、「当会社の目的に関しては、範囲を限定しない。」とか、「製造業以外」などとの目的の記載は、明瞭性を欠くことになります。

    6登記所における商号調査簿の備え付けに関して一言述べておきます。
    商号調査簿(各会社の商号と目的が記載されています。)は、旧商法下において、主に類似商号の調査のために用いられてきましたが、会社法下においても、当面、登記所に備え付けられることになっています。

    これは、類似商号の規制が廃止されたとはいっても、会社法8条の存在や、同一本店所在場所における同一の称号の登記が禁止されていることから、商号の選択の際の調査に利用されることを考慮されたものです。

  • 会社の目的とは、会社の営もうとする事業を言います。会社の目的は、商号などとともに、会社を識別する基準です。それは、株主及び取引の相手方にとって重要ですので、定款の絶対的記載事項とされています。

    会社の目的の定款記載に関して、目的は複数あってもよく、目的相互に関連性がなくても良いです。目的の最後にたとえば、「前各号に附帯または関連する一切の事業」と記載するのが通常です。このような附帯・関連事業も目的の範囲内であることを明示しておくのです。

    法務局(登記所)における目的の審査基準について、旧商法下の取扱いは以下の4要素が挙げられていました。
    ① 適法性(会社の目的が、公序良俗に反しないこと)
    ② 営利性(会社の目的が、利益を上げ得る事業であること)
    ③ 明確性(目的に関する定款の記載の意味内容が明瞭・明確であること)
    ④ 具体性(会社がどのような事業を営むのかを、第三者が判断できる程度に具体性を有すること)

    会社法下の取り扱いは、上記4要素のうち、「具体性」については審査基準の考慮要素から除外されることになりました。その理由は、旧商法下では、類似商号に抵触することを回避するため、目的の記載内容を具体化・細分化する傾向がありましたが、会社法下では類似商号の規制が廃止されましたので、目的の記載内容の具体性を考慮する必要がないと考えられるに至ったからです。

  • 同一の本店所在場所における同一称号の登記の禁止の問題があります。旧商法下においては、「他人の登記した商号と同一または類似の称号は、同一市町村内において、同一の営業のために登記することができない。」旨、規定されていました。これを「類似商号の禁止」と言いました。

    しかし、現会社法のもとでは、このような類似商号の規制が廃止されました。そして、商号の規制として、既に登記された会社と同一称号で、同一の本店所在場所の会社の登記だけが、許されないものとされています。したがって、事業目的が同じでも、会社の住所が異なれば、同じ商号でも登記ができるようになったわけです。これにより、商号選択の自由度が高まったと言えます。

    しかし、①会社法8条は、不正の目的をもって他の会社と誤認されるような商号を使用することを禁止し、既存の商号を使用者からの侵害停止、侵害予防請求を認めています。

    また、②不正競争防止法の関係で、類似商号を用いると、(a)「他人の商号として、需要者の間に広く認識されているものと同一、もしくは類似の商号を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為、及び(b)「自己の商号として、他人の著名な商号を表示するものと同一もしくは類似のものを使用する行為」に該当し、差し止め請求や損害賠償請求を受ける恐れがありますので、商号の選択には注意を要します。

  • 商号とは、会社の名称で定款の絶対的記載事項です。株式会社の商号には「株式会社」という文字を含むことを要します。したがって、この「株式会社」の文字自体はカナやローマ字で表示することはできません。

    ただし、定款にたとえば「第一条 当会社は、東京ABC株式会社と称し、英文では、TOKYO ABC CO., LTD. と表示する。」と記載することはできます(この場合、英文表示は、商業登記には記載されません)。

    商号は、日本文字のほか、ローマ字、アラビア数字を用いることができますし、また、「&」(アンバサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、及び「・」(中点)の6種の符号を使用することができます。

    ただし、この6種の符号の内、ピリオドについては、省略を表すものとして、商号末尾に使用することが可能ですが、それ以外の符号については商号の先頭または末尾に使用することはできません。

    なお、ローマ字を用いた複数の単語を表記する場合には、単語の間を空白(スペース)によって、区切ることもできます。

    他の法令により使用を禁止されている文字を用いることも、許されません。たとえば、「銀行」、「信託」、「証券」、「保険」などの各事業を営む者でない会社が、その各業者であることを示すような文字を商号中に用いることはできません。

    また、支店であることを示す文字を用いることや、商号中に会社の一営業部門を示す「不動産部」のような文字を用いることはできません。

  • 株式会社の設立の方法として、発起設立と募集設立の方法があります。

    発起設立とは、設立時発行株式(株式会社設立に際して発行する株式)の全部を発起人が引き受け、発起人以外の者から株式を引き受ける者を募集しないで、会社を設立する方法です。

    募集設立とは、設立時発行株式の一部を発起人が引き受け、残りの株式は他から株主を募集して、会社を設立する方法です。この場合でも発起人は、一株以上の設立時発行株式を引き受けることを要します。

    募集設立は、発起設立と異なり、株主の募集や創立総会の手続きを得なければならず、手続的に複雑です。なお、発起設立・募集設立ともに、原始定款で設立時取締役、設立時代表取締役、設立時会計参与、設立時監査役、及び設立時会計監査人を定めることができます。

    発起設立・募集設立ともに設立の際の払込みは払込取扱機関による必要があります。しかし、その払い込まれた金銭の額の証明には、募集設立の場合は、払込取扱機関が発行する払込金保管証明書が必要です。一方、発起設立の場合は、特定の払込みがあった事実が明らかになるものであれば、預金通帳の写しなどの任意の方法によることができます。

    一般に、発起設立は、発起人だけで出資できるため比較的小規模な会社の設立に適しています。これに対し、募集設立は、発起人だけで出資を賄うことができない場合など、比較的大規模な会社に適していると言えます。

  • 定款とは、会社の目的、内部組織、活動に関する根本規則を言います。また、これらを記載した書面、または電磁的記録を記録したものを含みます。日本国の「憲法」にあたります。会社、公益法人、各種協同組合など社団法人では、設立にあたって定款を作成する必要があります。

    なお、原始定款とは、会社の設立に際して最初に作成された定款のことを言います。株式会社の場合には、この原始定款について、公証人の認証を要します。(その他、弁護士法人、有限責任中間法人などの社団法人も、公証人の認証を要します)。

    定款の記載事項には、①絶対的記載事項、②相対的記載事項、及び③任意的記載事項、の3つがあります。

    絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。これを記載しないと定款が無効になります。絶対的記載事項は、①商号、②目的、③設立に際して出資される財産の価額、またはその最低額、④本店の所在地、⑤発起人の氏名または名称及び住所、の5つの事項です。

    相対的記載事項は、定款に記載しなくても、定款の効力自体には影響はありませんが、定款に定めない限り、その効力が認められない事項を言います(会社法に「・・・定款で定めることができる。」とか「・・・の事項を定めるときは、・・・定款で定めなければならない。」などと、規定されている場合が、相対的記載事項となります)。変態設立事項(現物出資等)、種類株式の定め、株券発行会社である定め等、が該当します。

    任意的記載事項はその記載を欠いても定款の効力に影響はなく、定款外で定めても、効力を有する事項を言います。株主名簿の基準日、議決権の代理公使、取締役会の招集権者等、があります。

  • 発起人とは、会社設立の企画者として定款に署名または記名押印したものです。したがって、どのような会社を設立するかを企画し、そのための定款を作成し、設立登記申請を行うなどといった一連の作業を行う意思を持った人を発起人に選べばよいことになります。

    発起人は、設立時発行株式1株以上を引き受けて設立される会社の最初の株主となる必要があります。

    発起人の資格の問題点を解説します。

    ① 未成年者は原則として単独で法律行為を行うことはできず、法定代理人の同意を要します。したがって、発起人のうちに未成年者がいる場合には、その者の親権者である父母の同意書・印鑑証明書と戸籍謄本を、添付する必要があります。この同意は、父母の共同親権の場合は、共同で行使することを要します。

    ② 株式会社は新会社の目的が、これらの会社の目的の範囲内であれば(実務上、会社の目的の一部が、同種であればよいと解されています)、新会社の発起人になることができます。

    ③ 法人格のない組合(たとえば民法上の組合)は、株式会社の発起人になることはできません。ただし、組合員個人が発起人になることはできます。この場合には発起人は、組合員個人として定款に署名または記名押印することを要します。

    ④ 個人の破産者は、発起人となることの障害とはならないと、解されています。

    株式会社の破産の場合は、解散事由となることから当該決定を受けた株式会社は、新会社設立の発起人となることはできません。

    ⑤ 外国人について発起人となることを制限した規定はないことから、外国人も発起人となることができます。外国人の本人確認資料については、当該外国人が、外国人登録原票に登録されていれば印鑑登録ができますので、印鑑登録証明書によることができます。

  • 株式会社設立にかかる費用は、当事務所は29万円です。代表取締役の印鑑作成、定款作成・認証、設立登記、印鑑カード・全部事項証明書取得を含みます。

    会社設立の企画から定款作成・公証人の認証までの流れは概ね次のようになります。

    1. 発起人を定める
    2. 会社の商号・事業目的・本店所在地の決定
    3. 株券発行にするか否か・取締役会設置会社にするか否か・監査役を設置するか否か
    4. 設立時取締役の決定・役員の任期の決定
    5. 事業年度と決算公告方法の決定
    6. 設立に際して出資される財産の価額、またはその最低額の決定
    7. 設立時発行株式に関する事項の決定・現物出資をするか否か
    8. 定款作成
    9. 公証人から定款の認証を受ける

    会社の設立登記
    定款の認証後、株式会社の設立登記までの流れは概ね次のようになります。

    1. 設立時発行株式に関する事項の決定(定款に定めがあれば不要)
    2. 発起人による株式引き受け、払込み(発起設立では払込金保管証明書は不要)
    3. 設立時役員の選任(定款に定めがあれば不要)
    4. 設立時取締役・監査役による設立手続きの調査(定款に変態設立事項の記載がなければ不要)
    5. 発行可能株式総数の定めと定款変更(定款に定めがあり、かつ定款変更がなければ不要)
    6. 設立登記申請
    7. 設立登記完了
  • 株式会社とは、社員の地位が株式という細分化された均等の割合的単位の形をとります。そして、その社員(株主)が、会社に対し各自の有する株式の引き受け価額を限度とする有限の出資義務を負うだけです。社員は、会社債権者に対してなんらの責任も負わない会社です。

    株式会社の特徴は、①社員の地位が株式の形をとることと、②社員が有限責任であると、いうことです。設立に際して出資される財産の価額は、1円でも良いです。

    有限会社は会社法のもとでは認められません。しかし、旧商法下で設立した有限会社は、会社法の規定に基づく「株式会社」として存続します。
    ただし、商号中に「有限会社」の文字を用いなければならず、「特例有限会社」と称されます。したがって、特例有限会社の機関は、取締役・監査役・株主総会ということになります。(なお、監査役は任意設置機関、他は必要機関)。

    特例有限会社のままでいるメリットは、主に、①取締役の任期がなく(役員変更の登記が不要)、②決算公告の義務もない、という点です。

    有限会社は、商号の定款変更により、通常の株式会社に移行することもできます。この場合、①商号変更(○○有限会社→○○株式会社)についての定款の変更を株主総会で決議し、②株式会社の設立登記申請、③特例有限会社の解散の登記申請を行う必要があります。

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