代表取締役の選定株式会社設立機関設計解説
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取締役会設置会社において、代表取締役の員数については法律上の制限はありません。よって、取締役会で複数の代表取締役を選定することができます。この場合、代表取締役各自が代表権を有します。
なお、旧商法下では、代表取締役が共同して会社を代表すべき旨を定めることができ、登記事項とされていましたが、会社法のもとでは共同代表の登記は廃止されました。しかし、共同代表を禁止する規定はありませんので、定款などにより、共同代表の定めをすることはできますが、この定めは代表権の内部統制にすぎず、善意の第三者に対抗することができません。
非取締役会設置会社では代表取締役を定めない場合には、各取締役が代表取締役となります。なお、設立時取締役が一人の場合でも、同人が商業登記上、代表取締役となりますので、電子定款で当該取締役を設立時代表取締役とすることができます。
これに対し、代表取締役を定める場合には、①定款、②定款の定めにもとづく取締役の互選、または③株主総会の決議によって取締役のなかから代表取締役を選定することになります。
共同代表制度の趣旨は、代表権の濫用を防止するためのもので、これを登記に公示することによって、取引の安全をはかろうとしたわけです。しかし、現実に共同代表の定めが登記されることは稀で、しかも、いったん登記がされると第三者が正当な事由によってこの定めを知らない場合を除き、善意の第三者にも対抗できます。そうすると、単独代表権を有すると信頼した取引の相手方との間で、紛争の原因となることが多くあり、会社法では、共同代表制度を登記事項から廃除することにしたのです。