離婚による財産分与と慰謝料の関係

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財産分与と慰謝料

(最高裁判所判決 昭和31年)

事実の概要

  • 不細工なくせに美男子と思っているX男は、九州の高校を卒業後、東京のA大学(高校の推薦で誰でも入学できるような大学)に推薦入学。
  • ところが、X男の両親は「X男」は東京の大学に合格した。難関を突破して凄いのだ」と近所や親戚中に触れ回ったところ、東京大学へ入学したと勘違いする人もいた。
  • 地元ですっかり有名になったX男は、多額の合格祝い金をもらい上京し、一人暮らしがはじまる。
  • 入学したA大学はいわゆる三流大学で、他の入学者たちも有名大学に不合格となったごく一部を除き、さほど優秀ではない連中であった。
  • 入学式を終え、部活勧誘でX男は、興味はないがあわよくば映画俳優に・・・との動機で演劇研究会に入部。当時は、映画全盛期の前兆時代で、現在の若者が、アイドルを目指すのと同じようなものです。
  • X男の入部した演劇研究会には、映画俳優への夢を描く者がたくさんいたが、X男は不細工なくせに「研究会の中では自分が1、2番だ」と張り切っていた。
  • A大学の演劇研究会は6月に新人を含め発表会を開催する。X男は主役に抜擢されるのではないかと、淡い期待を抱いていた。
  • しかし、配役は「村人その5」であった。セリフは、全員そろって「そうだ、そうだ」というだけです。
  • その後の10月の発表会でも、X男はその他大勢の役であった。1年生はその他大勢の配役だったのでやむを得ないところである。X男は不満だったが役をこなした。
  • そのうちX男は演劇研究会2年生の映画女優を目指すY女と親しくなり、交際が始まった。
  • しばらくして、二人とも演劇研究会を退部し同棲をはじめた。そして、X男が20歳、Y女が21歳で、共に両親の反対を押し切り結婚した。
  • まだ珍しい学生結婚に、学内で有名になった二人もなんとか卒業し、就職を果たした。
  • しかし数年後、二人に破局が訪れる。性格の不一致と、X男の不倫だった。
  • 結婚生活は完全に破綻し、Y女はX男を許すことができず、X男は不倫相手と同居しY女と別居状態となる。Y女の申し立てた離婚調停も不成立となり、Y女は、訴訟で解決するため、X男に対し、離婚請求と慰謝料の支払いを請求した。
  • 第一審は、Y女の離婚請求を認めたが、慰謝料請求は認められなかった。控訴し第二審では、Y女からX男への慰謝料請求が認められた。
  • これに対し、今度はX男が最高裁へ、慰謝料は絶対に払えないと上告した。X男は不倫相手と結婚を考えていたため、Y女には金銭を与えたくないという思いだった。
  • X男の主張する理由は、Y女は財産分与請求ができるから、その請求をすべきだということと、慰謝料請求は、X男がY女の身体、自由、名誉などへの重大な侵害があって不法行為が成立する場合に限るべきであるということだった。

最高裁判所の判決

上告棄却の判決です。
すなわち、「X男はY女に慰謝料を支払いなさい」と、いう判決でした。

理由は、次のようなものです。

すなわち、離婚の場合に、離婚した一方は相手方に対して財産分与請求ができますが、この請求は、離婚につき不法行為のあったことは必要ありません。

一方、離婚した場合の慰謝料請求は、損害賠償の請求ですので、相手方の不法行為によって離婚することになった損害賠償請求です。

このように、慰謝料請求権は、財産分与請求権とはまったく違うものです。

また、慰謝料請求は、X男の主張のように狭く解する必要はありません。
身体、自由、名誉を害された場合にのみ請求できるというのは間違いです。

Y女は財産分与権と慰謝料請求権のどちらかを選択し、行使できます。

ただし、両請求は密接な関係にあるため、財産分与の額を定めるには、慰謝料を支払う事情も考慮されます。

裁判では、Y女は慰謝料のみ請求しているため、当然認められます。

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