悪意の遺棄の証拠・3年以上生死不明離婚入門
本ページでは、現在、離婚を考えている方へ、「後悔しないための離婚」として、離婚をする前に知っておくべき離婚についてを解説しています。
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同居義務違反の基準
- 配偶者の承諾を得ないで勝手に別居している場合は、悪意の遺棄とみなされます。
- たびたび家出をするとか、浮気相手の家に入り浸っている場合も同居義務違反とみなされます。
- 配偶者を家に入れない、配偶者を虐待して追い出すことは同居義務違反とみなされます。
- 単身赴任や病気療養で別居している場合は、同居義務違反とみなされません。
- 夫婦関係をやり直すため、一時的に別居している場合は同居義務違反とみなされません。
- 配偶者の暴力を避けるために家を出ることも、悪意の遺棄とみなされません。
同居義務違反の証拠
- 別居したことがわかる住民票とか別居している家の賃貸契約書は、同居義務違反の証拠になります。
- 別居の経緯を記したメモとか、同居の拒否を示す録音データは同居義務違反の証拠になります。
- 一方的に家を出ていったことを示す手紙・メールは、同居義務違反の証拠となります。
扶助義務違反の基準
- 最低限の生活費を渡さないことは、扶助義務違反とみなされます。
- 病気の配偶者を看病せず放置したことは、扶助義務違反とみなされます。
- 生活費の大半を趣味やギャンブルに使いこむことは、扶助義務違反とみなされます。
- 健康なのに働かないとか、生活費を送る約束で別居したのに送らない場合は、扶助義務違反とみなされます。
- 家事に専念するため職に就かないことは扶助義務違反とみなされません。
- 配偶者が一方的に家を出たときに生活費を渡さないことは、扶助義務違反とみなされません。
扶助義務違反の証拠
- 生活費を渡されていない場合は、源泉徴収票や預金通帳が証拠となります。
- 収入の大半を、趣味やギャンブルにつぎ込んでいるなら、購入した現物やレシート、クレジットカードなどの明細書が証拠となります。
協力義務違反の証拠
- 家事・育児を放棄しているという場合は、そのことで家庭生活がなりたっていない様子を定期的に映像や写真にとっておけば、証拠になるでしょう。
- 妻が専業主婦の場合でも、夫に家事や育児の義務がないわけではありません。これらを放棄している場合も協力義務違反にあたることがあります。
3年以上の生死不明
配偶者と音信不通になってから3年が過ぎ、生死もわからないときには、離婚を求めて裁判を起こすことができます。最後に相手といつ連絡をしたかを証明するには、消印付きの手紙や電話の通話履歴、メールの履歴が有効です。また、相手をさがす努力をしたことを示すために、警察に捜索願いを出したことがわかる受理証明書が必要になります。
また親戚や知人、仕事の関係者などに「○○年以降に連絡はなく、見かけてもいない」という陳述書を書いてもらう必要があります。このときに「連絡を受けた」「本人と思われる人を見た」という証言があると、生存の可能性があるとみなされ、離婚理由として認められません。
行方がわからなくても相手から電話や手紙などがあり、生きているということが明らかな場合には、「生死不明」という離婚理由には当たりません。「行方不明」の扱いとなり、この状況で離婚をするには、「悪意の遺棄」か「婚姻を継続し難い重大な事由」として、裁判を起こすことが必要です。
なお裁判で離婚が認められたあとで、相手の生存がわかっても、離婚が取り消されることはありません。
配偶者が生死不明のときの離婚方法
- 3年未満のとき
3年未満の場合は、「悪意の遺棄」か「婚姻を継続しがたい重大な理由」にあてはまると裁判でみとめられた場合、離婚が成立します。 - 3年以上7年未満のとき
相手からの連絡や消息が最後にあってから「3年以上生死不明」を証明できれば、離婚が認められます。 - 7年以上のとき
2と同じ理由で、裁判を起こせば確実に離婚できる可能性が高いため、離婚としては一般的な方法といえます。
この場合、失踪宣告の申立てもできます。失踪宣告の審判を受けると、生死不明者は死亡したとされ、婚姻関係が解消されます。ただし、後日生きていた場合、取り消されることになります。
本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康 事務所紹介・代表紹介