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財産分与請求

2026年5月28日

夫婦財産の清算

夫婦財産の清算の意義

財産分与が法律上いかなる性質を有するかについては、規定の沿革および立法経緯からは、財産分与は夫婦財産関係の清算および離婚後の扶養を含むとされています。

夫婦財産関係の清算とは、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配することです(最高裁判所判例昭和46年7月23日)。

清算を認める根拠

第一に、起草過程で条文から扶養的要素を示す表現が削除されていったこと、第二に、民法768条3項は財産分与について判断する際の考慮事項として「当事者双方がその協力によって得た財産」を挙げていること、第三に、法的財産性として別産性をとることにより、夫婦の一方(特に妻)に生ずる不利益を離婚に際して調整することが正義桁平の観念に合致することであります。婚姻中に形成・維持された財産は、たとえ名義上は夫婦の一方の所有であってもその形成・維持には、他方の直接・間接の協力があるので実質的には夫婦の共同財産とみるべきです。

そこで、婚姻の解消にあたりそれらを分割することが正義ないし桁平の見地に合致することになります。

清算の対象

当事者双方がその協力によって得た財産の額

夫婦が婚姻後に協力して形成または維持した財産、夫婦の実質上の共同財産として、清算の対象となります。

清算の対象となるかどうかは、名義によって形式的に判断するのではなく、その財産の取得の経緯や対価などを考慮して実質的に判断されます。そのような財産がなければ、清算は行われません。

夫婦の一方の特有財産であっても、他方の協力によって維持された場合(喪失や減額を免れた場合)には清算の対象となります。

なお、夫婦が共有持分を有する共有財産については、通常の共有物分割の手続きによることも妨げられません。

問題となる財産

夫婦の協力によって形成された財産が第三者の名義になっている場合でも、それらを清算の対象に含めないと不公平が生ずる場合があります(たとえば、分与する夫の親や法人などです)。

この場合には、寄与の態様や報酬の有無、会社の事業内容や規模などの具体的な事情を考慮して、事案ごとに清算の可否を判断します。

ただし、名義人を当事者にしない限り現物分割はできないので金銭による清算が行われます。

すでに支給された退職金または支給の決定した退職金が清算の対象となることに争いはありません。将来取得するであろう退職金については、多数説は清算の対象に含めています。

年金については、2004年の年金制度改正により夫婦が離婚など(婚姻の取消しなども含む)をしたときには、年金の分割が可能となる仕組みが設けられました。

年金の対象となるのは、被用者年金(厚生年金と共済年金(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済))の部分のみです。

方法としては、被用者年金などの報酬比例部分の年金額の算定の基礎となる標準報酬につき分割割合(請求すべき按分割合)を定めます。

その定めにもとづいて、夫婦であった者の一方の請求により、社会保険庁長官が対象期間(原則として婚姻期間)にかかる被保険者期間の標準報酬の改定または決定を行います。

按分割合(分割を受ける側の分割後の持分となる割合)については、5割を限度として原則として当事者間の協議により定められます。

協議が整わないときには、当事者の一方の申立てにより家庭裁判所が審判によって、または離婚後の判決における附帯処分として、按分割合を定めることができるほか、「その他家庭に関する事件」として家事調停において定めることもできます。

また、いわゆる第三号被保険者期間については、第三号被保険者であった者はその期間の被保険者の標準報酬の改定および決定を請求することができ、その割合は二分の1とされます。

夫婦財産の清算は、婚姻中に夫婦の協力によって形成・維持された積極財産を清算するものなので、債務などの消極財産は通常は分与されず、「一切の事情」の一つとして考慮されることが多いようです。

なお、積極財産の額から消極財産の額を差し引いた残額から清算額を定める例もあります。

清算の割合

具体的な基準は定められていません。実務では、具体的事案ごとに清算の対象となる財産の形成に対する双方の貢献の度合い(寄与度)によって分割するものが多いですが、その評価と清算の割合につき学説には議論があります。

個人の労働形態や婚姻における夫婦の協力の形態の多様化に応じて、寄与の態様や具体的内容も多様化しており、裁判例も直接・間接に夫婦の財産の形成に貢献する行為を広く考慮して判断しています。

1980年に配偶者の相続分が引き上げられてから、寄与度を二分の1とする裁判例が増えています。

本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康

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