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財産分与請求

2026年5月13日

財産分与の法的性質

民法768条(財産分与)の規定

民法768条(財産分与)
1. 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2. 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から5年を経過したときは、この限りでない。
3. 前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。

本条の趣旨

本条は、協議上の離婚にともなう財産分与請求について規定しています。離婚の際に配偶者の一方から他方に対してされる財産的給付のことを離婚給付といいます。

民法は離婚給付として本条の規定を設けているだけなので、離婚給付の問題はもっぱら財産分与の問題として論じられています。

離婚給付は、遠隔的にはヨーロッパ諸国において、離婚に対する制裁と離婚によって不利益を被る配偶者の保護のために認められました。

終生の結合たるべき婚姻が離婚によって解消される場合、有責主義的離婚法のもとで離婚によって不利益をうける無責配偶者の損害の賠償および有責配偶者に対する制裁として、有責配偶者から無責配偶者に対する離婚給付が命じられました。

離婚によって無責配偶者の不利益は終生の生活保障の喪失であるから、ここでの離婚給付の中核は離婚後の扶養であり夫婦財産関係の清算は、夫婦財産性の終了の問題として処理されてきました。

日本では、旧民法(明治23年民法)の草案には有責配偶者から無責配偶者に対する離婚後の扶養料の給付を命ずる規定が置かれましたが、真偽の途中で削除されました。

旧法の原案にも離婚後扶養の規定が置かれましたが、扶養の順位に関する規定の修正案との関係からけっきょく削除されました。

現行768条の直接の淵源は、民法親族編中改正の要綱第17「離婚に因る扶養義務」により「離婚の場合において配偶者の一方が将来生計に窮するものと認むべきときは、相手方は原則として扶養なすことを要するもの」として、離婚後の扶養を提案したことに求められます。

この提案の背景には、同要綱が裁判離婚に関していわゆる相対的離婚原因を認め「婚姻を継続し難き重大な事情」の存する場合にも離婚を認めようとしたこと、具体的には特にいわゆる精神病離婚を認めようとしたことがあります。離婚後の扶養は精神病者の離婚後の保護を確保するための備えでした。

人事法案(仮称)97条は「離婚した者の一方は相手方に対し相当の生計を維持するに足るべき財産の分与を請求することを得る。前項の規定による財産の分与については、家事審判所は当事者の請求により双方の資力その他一切の事情を斟酌して、分与をなさしめるやいなやならびに分与の額および方法を定む」と規定しました。

条文の軸は、離婚後の「扶養」から「相当の生計を維持するに足るべき財産の分与」に変更されましたが、その意味するところは、改正要綱と同じく離婚後の扶養であって夫婦共同財産の清算は観念されていなかったようです。

しかし、この変更は離婚後の扶養を離れ、財産の清算をも含みうる包括的な離婚給付への道を開き、戦後の民法改正による財産分与規定の新設につながったと評価されています。

戦後の民法改正は、この人事法案の規定を出発点とし、改正案の起草過程においてさらに修正が加えられました。

第一に「相当の生計を維持するに足るべき」財産の分与から「相当の」財産の分与となったものの、それが「相当多額の」財産と誤解されることを恐れて、「相当の」が削除されました。

第二に、この規定を婚姻中に得た財産の清算として理解し、分与の具体的基準を設けるように主張したGHQとそれに反対する日本側起草委員との交渉との結果、分与に際して考慮すべき事情の例示として記載されました。

人事法案以来掲げられてきた「当事者双方の資力」という離婚後の扶養的性質を基調とする文言を、「当事者双方がその協力によって得た財産の額」という財産の清算的性質を基調とする文言に変更しました。

第三に、財産分与請求の申立て期間に制限を設けました。

本記事作成:司法書士・行政書士 美馬克康

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