申立書による調停の依頼
離婚において、相手方が話し合いを拒否している場合、または話し合いがまとまらない場合は、調停に進みます。離婚調停の申立てができるのは、当事者である夫か妻だけです。第三者からはできません。
申立ては相手の住所にある家庭裁判所に行います。その家裁が遠くにあり、通いやすい別の家裁で調停を行いたい場合は、相手の合意をとれば別の家裁で対応してもらえます。
申立書の用紙は家裁で受け取るほか、「裁判所」のホームページからダウンロードできます。必要書類を記入した申立書とともに夫婦の戸籍謄本、年金分割のための情報通知書などの必要書類を提出します。なお、申立書は調停相手にも送るので写しが1通必要です。
住所地を知られたくない場合
申立書には住所を書かなければなりません。ですが、DVの被害を受けて避難している場合など現住所を知られたくない場合は、相手に知られても構わない住所地(実家の住所など)を書いてもかまいません。その場合、現住所は家裁が作成する「連絡先などの届出書」に記載されます。
このほか、調停の進め方で「どうしても相手と顔を合わせたくない」「自分が先に帰宅できるようにしてほしい」など、相手とのデリケートな問題があるときは、申立ての際に相談することができます。
あるいは「進行に関する照会回答書」に記載すれば配慮してもらえる場合があります。この書類はもともと申立てた人が都合のとれない日など控えておくためであり、相手には見られません。
陳述書の添付
申立書と一緒に自分の言い分を陳述書にして、提出することもできます。事前に陳述書を提出しておくことにより、調停委員が事前に内容を理解した状態で調停がはじまることになり、話し合いがスムーズに進むというメリットがあります。
自分の主張を明確に伝えることができるので、調停という特殊な場で言いたいことを上手に伝える自信がない人は、陳述書を添えるとよいでしょう。署名にまとめる過程で、考えが整理される効果もあります。
陳述書には結婚までの経緯や離婚に至った経緯、離婚協議の状況、経済状況、健康状態、自分の考え、希望などを記載します。
陳述書の書き方に決まりはありませんが、これまでの事実を時系列にそってわかりやすく簡潔に書いていくのが基本です。自分に不利になることは書かないのはもちろん、相手への悪口や愚痴を書き連ねるのは調停委員にマイナスイメージを与えるので、よい書き方とはいえません。
調停の進行ペース
申立てを行なって、裁判所によっても異なりますが、2週間後くらいに1回目の調停の期日の書かれた呼び出し状が家庭裁判所から届きます。
初回の調停は、通常は申立てから1か月ないし1か月半後です。混み具合で、2~3ヶ月後になることもあります。2回目以降は、月に1回程度のペースで行われます。
調停は平日に行われ、原則として本人の出席が求められます。都合が悪ければ期日変更を申請できますが、きいてもらえるとは限りません。仕事がある場合は、調停のために月1ペースで休むことを、職場に伝えておいた方がよいでしょう。調停は、裁判官と民間人である調停員の2名からなる調停委員会によって進められます。家庭裁判所では、夫婦の一方が調停室で話しているあいだ、もう一方は待合室で待機しているため、お互い顔は合わせません。
調停の成立と不成立
調停の結果、離婚の合意がなされれば裁判所が「調停調書」を作成します。調停最終日に裁判官が読み上げるので、内容を確認しましょう。
このとき、誤りがあれば訂正してもらえますが、これまでの調停と違う内容の変更や追加はできません。いったん「これでOK」で確認したら、以後の訂正はできません。
双方が確認を行なった時点で、離婚が成立します。あとで離婚届を出す義務がありますが、戸籍を処理する手続きに過ぎません。
どちらかが出席を拒否した場合や、「これ以上調停を続けても無意味」と調停委員会が判断した場合は、「調停不成立」とされ、調停が終了します。この判断に対して、不服申立てはできません。
不成立のあとの選択肢
調停不成立になった場合、その後の対応は次の4つから選ぶことになります。
- もう一度夫婦で協議する
- 離婚裁判を起こす
- 離婚をあきらめる
- 再度調停を申立てる
夫婦での協議は難しく、かといって「まだ裁判には持ち込みたくない」と考えている場合は、いったん調停を取り下げ、機会をみてもう一度申立てるのもひとつの方法です。調停委員が変われば、新たな妥協点が見出せるかもしれません。
調停の取り下げはいつでもでき、一方的に行えます。なお、調停を申し立てられた側には、取り下げる権利はありません。
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