相手へ離婚の意思を伝える
協議離婚の最初にしなければならないのは「離婚したい」という意思と理由を、きちんと相手に伝えることです。冷静に話し合うことが大切ですので、感情をぶつけないようにしましょう。
まずは次の2点を伝えることです。
- どういう理由で離婚を決意したのか。
- その理由のせいで、どんな悪いことが起きたのか。
結婚にともなう義務に違反しているケースは、1のみでも構いませんが、そうでないなら2が重要になります。
1の理由が、「性格の不一致」なら、2はたとえば「あなたに合わせていたら、自分の時間がまったく取れなくなった」など具体的なできごとを伝えましょう。
相手が納得しないなら、そろえておいた証拠を出しましょう。そのうえで話し合いを申し出ます。相手が話し合いを拒否した場合は、調停の申請に進みましょう。
決めるべき事項を書き出す
相手が話し合いを了承したなら、以下の2点を決めていきます。
- 決まっていないと、離婚届が出せないもの
- 離婚届には不要でも、曖昧にしておくと後々のトラブルにつながるもの
実際には、条件をお互いに譲歩しつつ離婚の合意に向かうケースが多いようです。
取り決めた内容が曖昧だと、将来相手が取り決めを守らず強制執行をしたいと考えたとき、逃げる口実を与えてしまいます。たとえば「慰謝料を払う」とは決めたが、「いつまで」とは言っていない、といった具合です。
強制執行とは、支払いを約束した側が取り決めどおりにお金を支払わない場合に、国が強制的に財産を使えないようにして支払いを行わせることです。
具体的によい方法は、取り決めの段階から5W1Hを意識するとよいでしょう。何について、誰が、誰に、いつまでに、どこで、どういう方法で行うのかを決めておきます。一度ですべてを話し合おうとせず、時間をかけて進めていくことが肝心です。
離婚協議書
話し合いを終えたら、取り決めた内容は必ず離婚協議書として残しましょう。口約束だけで済ませた場合、あとになってから約束が守られないなどのトラブルのおそれがあります。
離婚協議書に決められた様式はありません。縦書き、横書きの決まりもなく、用紙のサイズも自由であり、箇条書きでも構いません。
記載する内容も自由ですが、親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについての決定事項を具体的に書きます。
たとえば養育費については、支払う人の名前、受け取る人の名前、毎月の支払い金額、支払い期間、支払い方法などを記入します。
離婚協議書は、同じものを2通作成し(コピーも可)、二人の自筆署名と押印をして、それぞれが1通ずつ保管しておきます。
公正証書
二人のあいだで決定事項を記載しただけでは、取り決めを書き留めただけの私的書類にすぎず、法的な効力は弱いといえます。仮に取り決めを破られたとしたら、強制執行ができません。そこで、離婚協議書をもとにして、新たに公正証書を作り、そのなかに強制執行認諾の約款を付け加えます。
強制執行認諾とは、「ここに書かれた取り決めを破ったら強制執行を受けても文句は言いません」と約束させた一文です。この文言を、公正証書に書き入れておけば強制執行が可能になります。
公正証書は、二人で公証役場に行って、公証人に作成してもらいます。協議の内容を口頭で伝えることもできますが、時間もかかりますし伝えもれの危険性もあります。離婚協議書を持参し、「強制執行認諾約款付きで」と依頼するとよいでしょう。
公証人は、取り決めの内容をもとに公正証書の原本を作成し、夫婦それぞれが内容を確認したうえで署名押印します。公正証書は、原本と、原本の写しである正本、謄本が作成され、原本は公証役場が保管します。交付された公正証書は、お金を受け取る側が正本、支払う側が謄本を1通ずつ保管します。
公正証書に期待しすぎない
しかし残念ながら、公正証書の強制力は完ぺきとはいえません。強制執行の対象となるのは、養育費や慰謝料などの金銭についてだけです。また、強制執行を行うには公正証書のほかにも公的な書類が必要となり、手間も費用もかかります。
そういう点を考えると、「離婚しても互いの信頼関係は失わず、約束が破られないようにしておく」というのがもっとも安心できる協議の姿かもしれません。
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