共有財産のリストアップ
財産分与の対象となるのは、結婚後に夫婦で築き上げた共有財産です。具体的には現金、預貯金、不動産、私的年金、自動車、積立型保険、株式などです。将来受け取る予定の退職金も財産分与の対象となります。
住宅ローンや借金など、夫婦の共同生活を営むうえで生じたマイナスの財産も対象となります。
一方、例外的に共有財産から除かれ、各自の財産とされるものがあります。これを「特有財産」といい、財産分与から外され、個人のものにすることができます。たとえば独身時代から持っていた預貯金は、配偶者の協力によって得たわけではないので、特有財産になります。結婚前にした株式投資が今になって成功したなど、特有財産を資金とした投資の利益なども特有財産として認められます。日常的に使用している衣類なども財産分与の対象外です。
民法762条
1.夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2.夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
問題となるのは、独身時代の預貯金口座を結婚後の生活費の管理に使っている場合です。結婚時に新たに口座を開かなければならないという決まりはないので、ごく一般的な管理方法といえます。しかし、離婚を考えているなら早めに口座を区別してく必要があります。
金融機関では、結婚直前の年月日を指定して残高証明書の発行を依頼することができます。ただし、5〜10年を過ぎている場合、保存期間経過により破棄されていることがほとんどです。保存期間は金融機関や資産の種類によっても異なるので、早めに確認した方がよいでしょう。
相続した財産も財産分与の対象外
親や親族から相続した財産も特有財産であり、財産分与の対象外です。相続する権利は、相続する本人のものだからです。相続したのが借金だった場合も特有財産なので、離婚後に相手に債務の義務を負わせることはできません。
相続分は、相続した名義の口座を新たにつくり、生活費などとは分けておく必要があります。また、贈与を受けているなら公正証書をつくっておく方がよいでしょう。夫婦二人に対する贈与とみなされると財産分与の対象になるからです。
日常家事連帯債務
配偶者のギャンブルの借金は、本人が負担することになります。
しかし、日常の生活において家事に関する債務は連帯責任を負います(日常家事連帯債務)。したがって、夫婦は離婚しても、お互いに第三者に対して責任を負わなければなりません。この点に関して、民法761条は次のように定めています。
民法761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
男女の区別があるものの扱い
時計、バッグ、アクセサリーなど、男物と女物の区別がある服飾品、分け合っても夫婦の片方には使いようがありません。つまり、分けても価値がゼロになるだけなので、財産分与の対象にはされません。ただし、ブランド品など高額なもので売れば資産になるものは、分与の対象となる余地もあります。
特有財産
特有財産は、離婚の際の財産分与の対象とはなりません。どのようなものが特有財産に該当するかについて検討しましょう。
- 独身時代に手に入れた財産
- 現金・預貯金
- 借金
- 株式・債券
- 不動産
- 積立型保険
- 自動車
- 家電・家財道具
- 相続した財産(生前贈与を受けた財産を含む)
- 現金・預貯金
- 株式・債券
- 不動産
- 骨董品・美術品
- 自動車など高額品
- 借金
- 個人で築いた財産
- 独身時代に行った投資の配当金
- 独身時代の財産で行った投資の配当金
- 趣味やギャンブルなどでつくった借金
- 自分しか使わない家財
- 男物・女物の区別がある服飾品
- 携帯電話・スマートフォン
- 日常的に消費されてしまうもの(洋服や靴など)
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