婚姻費用の請求は離婚調停とは別
婚姻費用の分担について、話し合いがまとまらなかったり、相手が話し合いに応じなかったりした場合は、家庭裁判所に「婚姻費用の分担請求調停」を申立てます。
まだ離婚調停をする・しないを決めていない段階でも婚姻費用の支払いについてだけでも、請求することができます。離婚調停を起こすことが決まっている場合は、同時に申立てることもできます。
生活費が滞っていて、婚姻費用がないとすぐにでも生活が成り立たないという場合は、調停の申立てと同時に、上申書(裁判所に依頼や報告事項を伝えるための書類)を提出しましょう。調停委員会が緊急性を認めれば、支払いの勧告または命令が下されます。
これは調停前の処分といい、強制力はありません。
しかし、従わなければ10万円以下の金銭罰が課せられるので、一定の効果があります。
収入状況を添えての申立て
婚姻費用調停は、離婚調停と同じように、原則として相手の住所地を受け持つ家庭裁判所に申立てます。ただし、夫婦が合意すれば、別の家庭裁判所でも構いません。
申立書のほか、自分の収入状況がわかる書類として源泉徴収票、給与明細といった書類が必要です。これは相手方にも写しが渡ります。
書類のなかに知られたくない情報がある場合、たとえば「現住所を知られたくないのに源泉徴収票に書かれている」場合は、提出前にその部分を黒く塗りつぶします。もしくは、「非開示の希望に関する申出書」に、その書類を貼り付けて提出します。ただし、必ず希望が通るわけではないので注意が必要です。
婚姻費用の額の変更
婚姻費用分担請求の調停では、裁判官が「婚姻費用の算定表」をもとに夫婦それぞれの資産と収入、支出の状況、子どもがいる場合はその年齢を考慮しながら分担額を決定します。
一度分担額が決まったあとで「収入が減った」「子どもが進学した」など、生活の状況が変わった場合は、額の変更を求める調停を申立てることもできます。
また、婚姻費用分担請求の調停が不成立で終わると、自動的に裁判官による審判に移行します。
審判とは、家庭裁判所で取り扱う事件について、当事者の合意では解決できない場合に裁判官が判断を下すものです。提出資料や家裁調査官の調査結果などにもとづいて判断されます。
審判では、裁判官がこれまでの調停でわかった事情を考慮しながら決定を下します。その決定に不服なら二週間以内に申立てれば審判は確定せず、高等裁判所で改めて判断し直されます。
審判による判断を待っていれば、生活費の余裕がない場合は「婚姻費用を仮払いの仮処分」もあわせて申立てます。ここで緊急性が認められると審判前の保全処分といい、婚姻費用として仮に一定額を支払うように、という命令が出ます。
婚姻費用分担請求調停に必要なもの
- 申立書
裁判所のホームページから書式をダウンロードできます。写し1通も提出します。 - 夫婦の戸籍謄本
役所で直接入手するほか、本籍地の役所に郵送で取り寄せることもできます。 - 申立人の収入状況がわかる書類
源泉徴収票、給与明細、確定申告書の写しなど、収入を証明するものです。 - 収入印紙、郵便切手
収入印紙代は1,200円分、連絡用の郵便切手代は家庭裁判所に確認します。
なお、申立書の記入のポイントとして、次のような点に気をつけてください。
- 相手方に支払ってほしい金額を書きます
- 同居と別居を繰り返しているときは、一番最後の別居の日を書きます
- 夫婦がはじめて同居した日を書きます
- 増額の請求をしたいときは、その額を書きます
- これまでの支払い状況も書きます
備考
婚姻費用の支払い義務は、請求した時点から発生するものとされています。過去の分まで遡ることは難しいので、早めに調停を起こすべきです。
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